子どもの英語教師はネイティブでなくていい 英語を自然に身に付けるのに必要なこと
もう1つの理由は、コミュニケーションの問題です。前述のとおり、子どもが言葉を習得するには、母親のように子どもの「発達に応じた働きかけ」ができ、コミュニケーションがとれる指導者が必要です。もちろん、ネイティブの中にも、日本人の子どもが話す日本語を理解し、的確なコミュニケーションをとれる人もいるでしょう。が、この点においては、日本語を話す指導者のほうが、有利であると言えます。
大人の場合、英語を学ぶ動機や目標があるため、自ら質問するなどして自主的に学ぶことができます。この場合は、ネイティブの指導者が大いに役に立つでしょう。しかし、日本で日本人の子どもが英語を身に付けるには、子どもの成長を見守って的確な対応をしてくれる指導者が必要です。
英語を身に付けるには、まず日本語が大事
たとえば、家で聞いた英語の内容を子どもは話したくなるものです。「主人公は勇気があるから好き」「私はあの場面にドキドキしちゃった」「最後は幸せになったね」などと、内容を誰かに伝え共有したいものです。指導者はそのとき子どもの気持ちを的確に受け止め、理解する必要があります。そしてさらに英語が聞けるように促す言葉がけが必要です。日本人の指導者だと、このように子どもの状態に対応することが可能なのです。
ただし、日本語が流ちょうな指導者なら誰でもいいのか、といえばそういうわけではありません。上記のような子どもの発達や、指導方法を熟知している指導者でなければいけません。なおかつ、わが子を預けるなら、子どもの教育に対して、愛情と情熱をもって指導してくれる先生に出会いたいものです。
さらにもう1つ、英語ネイティブより、日本語が流ちょうな指導者のほうが、子どもの英語指導に適している理由があります。それは、英語を身に付けるには母語のしっかりとした土台が不可欠で、日本語ができる指導者だと、子どもの日本語能力を育てながら、英語を指導することができるからです。
英語を身に付けるのに日本語が必要というのは驚きかもしれません。しかしながら、言葉は思考や発話、理解の基盤となっているものですから、母語の基盤がなければ英語を身に付けることはできないのです。
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