茨城でスタバとコメダを圧倒する名店の正体 サザコーヒーの企業経営はここまで徹底する

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ただし、この店は徹底した採算管理を追求し続けた「数字の鬼」ではない。高品質のコーヒーを、後述する地元のイベントでは無料で大盤振る舞いもする。近江商人の「三方良し」ではないが、かつての日本企業らしい側面を持ち、事業を伸ばしてきたのが興味深い。

サザが店で提供するコーヒーは、安くない。店によって多少価格が違うが、本店は「サザ・スペシャル・ブレンド」が480円、「マンデリン」が540円、直営農園で収穫されたコーヒー豆を使った「サザ農園(コロンビア)」は590円となっている。

その中でも突出して高かった商品は「世界一のコーヒー『パナマ・ゲイシャ』」シリーズだ。本店では1杯「1000円」「2000円」「3000円」の3種類を提供してきた。表現が過去形なのは、品切れとなったので販売を休止し、近いうちに新豆で再発売予定のためだ。

このうち「3000円のコーヒー」は、2016年の「ベスト・オブ・パナマ」(パナマで行われるコーヒー豆の国際品評会)オークションにおいて、サザコーヒーが「1ポンド当たり275ドル」(約454グラム当たり約3万2000円=当時の為替レート)で落札した豆だ。「ベスト・オブ・パナマ」は「カップ・オブ・エクセレンス」とともに、権威がある国際品評会だ。

1杯3000円のコーヒーは、そうそう出ない気がするが、「本店では2日に1杯程度、全店では1日に2~3杯ご注文いただいていました」(本店統括店長の砂押律生氏)という。

創業者の鈴木誉志男氏(会長)の言葉を借りれば、「消費者が納得できるストーリー性があれば、高くても売れる」のだ。

「バリスタ選手権ベスト6」のうち3人が在籍

「JBC2017」の決勝進出者氏名

「最強」という表現を用いたのは、2つの意味がある。1つは、今年9月に東京ビッグサイトで行われたバリスタの国内選手権「JBC(ジャパン・バリスタ・チャンピオンシップ)」決勝進出者6人のうち3人がサザコーヒーの社員だったことだ(ただし優勝は逃し、同社バリスタの最高順位は準優勝)。ファイナリスト=3人の記録は、丸山珈琲に次いで大会史上2度目の快挙だった。

もう1つは前述した「パナマ・ゲイシャ」にいち早く目をつけ、コーヒーオークションで毎年のように落札し、日本国内に紹介し続けたことだ。鈴木氏の息子の太郎氏(副社長)は、コーヒー品評会の国際審査員でもあり、世界中の最新コーヒー事情に明るい。太郎氏が毎年落札することで、この豆の人気が高まり、国内外の注目を浴びた。

「パナマ・ゲイシャ」は、コーヒーの原産地エチオピアの“ゲイシャ村”と環境条件が似た中米パナマの環境で生産されるコーヒー豆だ。かつての「ブルーマウンテン」に取って代わり、現在は世界最高級の豆として君臨する。なお、ゲイシャ品種の豆はほかの国にもある。

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