ハンドスピナーがここまで人気を呼んだ理由 「感触」「伝えたい欲求」「謎解き消費」がカギ

✎ 1〜 ✎ 65 ✎ 66 ✎ 67 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

常見:実際に使うことと、わざわざシェアすることには差がありますよね。

高橋:ハンドスピナーがこれほど流行したもう1点の理由として、その情報価値にも注目しています。日本では、「アメリカの小学校で持ち込み禁止になるほど流行しているらしい」という記事が出たことをきっかけに、YouTuberも「使ってみた動画」を作成しました。

彼らはコンテンツそのものよりも、その裏にある行間を買っているのかも?

普段ならおもちゃを買わない、今ある事象を分析したい層にもウケたんだと考えています。「なぜ人気なのか、俺が語りたい」というニーズがあるんじゃないか。これも「伝えたい欲求」といえるでしょう。

常見:なるほど! まさに「謎解き消費」なんですね。今まさに、中公新書の『応仁の乱』が売れています。売れているからこそ「俺も『応仁の乱』を読んだぞ」と言いたくなる。ヒットの秘訣を、知的中年が語りたがるんです。そして、さらに売れていっています。彼らはコンテンツそのものよりも、その裏にある行間を買っているのかもしれませんね。

ハンドスピナーは、スマホ時代に欠けている「感触」にヒットし、人々のシェアしたい欲求、さらには「俺が語りたい」というニーズにまでマッチしたから、これほど大流行したのですね。

アナログゲームの復活

常見:これからのオモチャ業界は、どのようになっていくと思いますか?

高橋:今注目しているのは、アナログゲームです。デジタルゲームの台頭とともに、アナログゲームは絶滅してしまうのではないかといわれていましたが、ゲームマーケットで1万人以上も動員したり、ゲームカフェやゲーム会が人気だったりと、今アナログゲームが流行しています。

個々でゲームができるようになったからこそ、集まってプレーすることに価値が生まれているんです。「ニンテンドースイッチ」が流行したのも、どこでもみんなでプレーできる点にあると思っています。

常見:SNSが盛んになり、オフ会が活発になったのと同様の現象ですね。人はやはりリアルに回帰していくと。高橋さんも最近カードゲームを開発されていますよね。

次ページゲームの面白さを決める要素とは?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事