常見:実際に使うことと、わざわざシェアすることには差がありますよね。
高橋:ハンドスピナーがこれほど流行したもう1点の理由として、その情報価値にも注目しています。日本では、「アメリカの小学校で持ち込み禁止になるほど流行しているらしい」という記事が出たことをきっかけに、YouTuberも「使ってみた動画」を作成しました。
普段ならおもちゃを買わない、今ある事象を分析したい層にもウケたんだと考えています。「なぜ人気なのか、俺が語りたい」というニーズがあるんじゃないか。これも「伝えたい欲求」といえるでしょう。
常見:なるほど! まさに「謎解き消費」なんですね。今まさに、中公新書の『応仁の乱』が売れています。売れているからこそ「俺も『応仁の乱』を読んだぞ」と言いたくなる。ヒットの秘訣を、知的中年が語りたがるんです。そして、さらに売れていっています。彼らはコンテンツそのものよりも、その裏にある行間を買っているのかもしれませんね。
ハンドスピナーは、スマホ時代に欠けている「感触」にヒットし、人々のシェアしたい欲求、さらには「俺が語りたい」というニーズにまでマッチしたから、これほど大流行したのですね。
アナログゲームの復活
常見:これからのオモチャ業界は、どのようになっていくと思いますか?
高橋:今注目しているのは、アナログゲームです。デジタルゲームの台頭とともに、アナログゲームは絶滅してしまうのではないかといわれていましたが、ゲームマーケットで1万人以上も動員したり、ゲームカフェやゲーム会が人気だったりと、今アナログゲームが流行しています。
個々でゲームができるようになったからこそ、集まってプレーすることに価値が生まれているんです。「ニンテンドースイッチ」が流行したのも、どこでもみんなでプレーできる点にあると思っています。
常見:SNSが盛んになり、オフ会が活発になったのと同様の現象ですね。人はやはりリアルに回帰していくと。高橋さんも最近カードゲームを開発されていますよね。
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