日本株、記録づくめの好調に潜む暴落リスク

大相場を予感する一方で過熱感や不安材料も

最大の焦点はFRB(米国連邦準備制度理事会)の利上げだ。FRBはQE(量的緩和)からQT(量的引き締め)に舵を切っている。来年2月に就任するパウエル新議長が利上げのタイミングを見誤れば、世界景気を冷やし、円高をもたらしかねないからだ。「FRBの利上げは米国株の利益確定売りを誘う。それが円高をもたらし、日本株もいったん売られる可能性がある」(みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリスト)。

大手企業の不祥事も株安リスクの一つ

神戸製鋼所や日産自動車など大手メーカーの相次ぐ不祥事も暴落の引き金になりかねない。「今の株高の流れが続くのであれば、個社の要因に過ぎないということで、不祥事の影響は吸収される」(野村証券の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジスト)。だが、企業業績の上方修正が一巡する11月中旬以降に株高の流れが鈍化すれば、「相次ぐ企業不祥事を『日本株を買わない理由』として海外投資家が持ち出してくる可能性はある」(若生氏)。

特に神戸製鋼の製品は自動車、人工衛星、半導体など幅広く使われている。神戸製鋼のデータ改ざんで日本メーカー全体のものづくりへの信頼が揺らげば、日本株が広く売り込まれる事態が生じる可能性は否定できない。

北朝鮮リスクも相変わらず大きな懸念材料だ。「9月15日を最後に、発射実験を行っていないことがその後の買い安心感につながっている」(みずほ証券の三浦氏)。外国人投資家の多くは膠着状態が続くとみている。「『北朝鮮問題に解決策は何もなく、悪化も改善もしない』というのが米機関投資家の大方の見方」(BNPパリバ香港の岡澤恭弥アジア地域機関投資家営業統括責任者)だ。

ただ、「11月10〜11日のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議の後に、北朝鮮の挑発が繰り返される可能性がある。米国と北朝鮮の軍事衝突のおそれという地政学リスクが高まれば、利益確定の売りを誘う」(三浦氏)。

9月15日以降、発射実験をしていないとはいえ、「北朝鮮問題の一寸先は闇」(コール氏)であることに変わりはない。何が起こっても不思議ではない以上、北朝鮮問題の日本株への影響は今後も軽微だとは到底言えなさそうだ。

強気と弱気が交錯する株式市場。直面しているのは歴史的大相場の始まりか、それとも暴落の入り口なのか。

週刊東洋経済11月18日号(11月13日発売)の特集は「いま買える株・投信」です。
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 財新
  • スージー鈴木の「月間エンタメ大賞」
  • 映画界のキーパーソンに直撃
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
トレンドライブラリーAD
人気の動画
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
パチンコホール「ガイア」店舗撤退で大激変する勢力図
パチンコホール「ガイア」店舗撤退で大激変する勢力図
ネットで生卵がメチャメチャ売れる驚きの理由
ネットで生卵がメチャメチャ売れる驚きの理由
「上司の品格」を疑われる、やってはいけない7つの質問
「上司の品格」を疑われる、やってはいけない7つの質問
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
SDGsが迫る企業変革<br>ビジネスと人権

サプライチェーンの中で起きる人権侵害への意識が高まっています。欧米では法制化が着実に進展し、企業に対し人権リスクの把握と対策を求める動きが顕著に。欧米に比べて出遅れている日本企業の現状を多角的に検証します。

東洋経済education×ICT