視察が絶えない小売店、「イータリー」の実力 イタリア発の新業態に業界関係者が注目

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イータリーの特徴は食に関するさまざまな体験を提供する点にある。たとえば、イータリーのレストランでパスタを食べて気に入れば、帰りがけに同じパスタやトマト缶を購入することができる。従業員から調理の助言をもらうことも可能だ。

「道の駅」に近いコンセプト

食品スーパーとレストランの融合について、イータリー・アジア・パシフィックの甕(もたい)浩人社長は「地元生産者が作る食材を購入し、食事をするという点では、日本でいえば『道の駅』に近いコンセプト」と述べる。

イータリーには「高品質な食材を作る生産者こそが主役」という考え方がある。丸の内店でもイタリアの2000以上の小規模生産者から集めた現地食材を扱う。ほかに、イータリーが契約した東京近郊の若手農家が生産するイタリアの野菜も展開する。

さらに「学ぶ」機会もある。週1~2回のペースでセミナーを実施。ワインやピザなど、その日ごとのテーマを設定し、イタリアの生産者を招いた試食会などを開催している。「食に関するさまざまな発見があるのが、イータリーの一番の魅力」(甕社長)。

課題は出店スピードだ。イータリーでは専門的な食材を扱うだけに、人材育成が不可欠となる。それだけに「矢継ぎ早に出店するのは難しい」(甕社長)。出店場所も人が多く集まる一等立地が基本だ。今後は20年の東京五輪の開催前までに、東京都心で1000平方メートル程度の旗艦店を出すことを目標に掲げる。 

成熟市場の日本において、潜在需要を掘り起こすためには、イータリーのような新しい食の提案がスタンダードになる時代が来るかもしれない。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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