夢じゃない「求人倍率2.0倍」時代が到来する 転職市場から「人が消える」かもしれない

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これまで、求人倍率は5年程度でピークから下降へと上下を繰り返してきました。バブル期でも求人倍率が上昇を続けたのは5年程度。5年のうちに景気が下降して、求人倍率もダウン。こうした下降期に企業は人材を確保して、次の成長への仕込みができたものでした。

たとえば、前回の求人難は2000年前半に訪れましたが、5年と持たずにリーマンショックで求人倍率は1.0を大きく割り込み、会社が優位に採用できる状況になりました。ちなみにエネルギー、不動産業界など、景気がいい時期に採用で苦労する業界で採用数が大幅に増えました。

2020年くらいまでは求人倍率は右肩上がりで上昇する

ところが、今回は10年近く求人倍率が上昇を続けそうです。人材関連の調査会社に話を聞いても「求人倍率が下降する時期が早々にくる」と断言する話を聞いたことがありません。筆者も2020年くらいまでは求人倍率は右肩上がりで上昇すると予想しています(少子化の進行を考えると、その後も続くかもしれません)。だとすれば、求人倍率が2.0倍(全国平均で)を超える「超採用難」の時代がやってくるかもしれません。こうした想像を絶する超採用難時代になったら、会社はどのような対策を打つべきでしょうか?

やはり、前提となるのは衛生要因の改善。衛生要因とはアメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱する概念。会社が社員の願望を満たさないと不満につながるもので、

・会社の方針

・報酬

・働く環境

などのこと。求人倍率が低い、買い手市場の状況であれば衛生要因に不満を抱きながらも、社員はなかなか動かないもの。ですが、求人倍率が高まり、売り手市場との認識が高まると状況が変わります。転職して「衛生要因がいい職場」に転職が可能になるので、不満=転職動機を引き起こします。

しかも求人倍率が上昇を始めて、やや時間が経過した時期こそ、転職希望者が増えるタイミング。求人倍率の上昇と転職希望者の増加には時差があり、打ち手を見誤ると想定以上の人材流出を起こすことになります。

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