LCCピーチが描く「脱エアライン」戦略の真意 個人と個人をつなぐ「旅行検索アプリ」で稼ぐ
「この結果に私と営業部隊は面食らってしまった。結局われわれがこんな観光地が良いですよと提案しても信頼してくれない(笑)。インスタグラマーなど、誰かの”追体験”の旅にニーズがあることに気づかされた」。井上CEOはそう振り返る。COTABIではそんな追体験を提供したい考えだ。
旅行会社ではないピーチのサービスであり、個人が投稿したプランはバラバラなのに、なぜ一括予約ができるのか。
事業開発を取り仕切る森井理博・執行役員営業統括本部長は、「来春から、エクスペディアなどのオンライン旅行代理店も使っているような海外の検索エンジンとCOTABIをつなぐ。プランの投稿者が選んだホテルやアクティビティが自動的にエンジンと繋がるため、一括予約ができるようになる」と明かした。
システムを独自開発、将来は分社化も
ただ今回提携したAirbnbの物件など、検索エンジンに引っかからないものも多くある。投稿者が選んだどんな宿泊先やアクティビティでも一括予約ができるよう、今後はピーチ自身が独自のシステムを開発する。「開発には2年ほどかかるだろう」(森井氏)。社外の専門家を交えたプロジェクトがすでに始まっているという。
誰でも自由に投稿できるがゆえに、不適切なプランが掲載されてしまうリスクもある。これについて井上CEOは、「いかに健全な環境にするかが課題。今回Airbnbと組んだのは、悪質なものを排除する仕組みを参考にする狙いもある」と話した。
「既存の航空事業とは切り離し、1つの事業としてとらえている」と森井氏は言う。COTABIで予約が成立すれば、ホテルなどからコミッション(仲介手数料)が得られる。そのほかネット広告なども含めた収入でシステム開発費用を回収し、収益柱に育てる方針だ。さらに森井氏は「独立させて一つの会社にすることもありうる」として、将来の分社化も示唆する。
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