「72時間ホンネテレビ」が示した3つの本質 地上波が失ったものがそこにはあった

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

呼び水となったのは、「3人だけで72分トーク」。稲垣さんが「今までやってきたこと(演技や歌)は(今後も)やりたいよね」、草彅さんが「ギターを弾くようになって歌がもっと好きになった。芝居もいろんな役をやりたい」、香取さんが「(芸術家としての活動を)2人はどう思ってるの?」などとホンネで語ることでグッと引きつけました。

そこにいるのは、これまでのような事務所や番組が求めるキャラクターではなく、素顔の3人。番組放送中、彼らは何度となく「カメラあるの忘れてたね」と言い合っていましたが、ゆとりのある時間配分に加え、編集や過剰な演出がないため、「吾郎ちゃんってこんなにしゃべる人だったんだ」「剛は思っていたより、もっといい人なんだね」「ボケない慎吾も新鮮。熱い人なんだな」などと感じた人は多かったでしょう。

そんな姿こそが、現在の世の中で求められる個人の本質なのです。

すべてを楽しむナチュラルポジティブ

彼ら3人からは、ビジネス、スポーツ、政治などの各分野で突き抜けたスキルを持つ人々と同じように、「妙なプライドにとらわれることなく、目の前のことを楽しもう」というスタンスが見られました。「人々が喜びそうなことなら何でもやってみよう」「年齢や実績は関係なく100人超の出演者たちと一緒に楽しもう」「できるだけSNSを使って視聴者とつながろう」というナチュラルポジティブな姿が、視聴者には輝いて見えたのです。

歌って踊るときも、即興芝居をしていても、罰ゲームを受けているときすらも、とにかく楽しそうな笑顔であふれていました。芸能界の大先輩である堺正章さんから、「40代から先の芸能活動は絞ったほうがいいかもしれない」というアドバイスを受けたあとも、自分の気持ちに正直な彼らは、すべての企画で楽しそうだったのです。

これらの楽しげな姿は、確実に視聴者の心にリーチしていました。彼らがマクドナルドで食事しているだけのシーンで引きつけられるのは、いかにも楽しそうな姿で視聴者の笑顔を誘えるから。人々の生き方や生活が多様化・細分化する中、芸能界のみならずビジネス界、スポーツ界、政治界などのあらゆる業界で、彼らのようなナチュラルポジティブな人物像が求められているのです。

たとえばビジネス界なら、旧来の作られたアイドル像を脱ぎ捨てた彼らのように、型にハマったビジネスパーソン像を脱ぎ捨てられるか。年齢や立場の違いにとらわれることなく、一緒に仕事ができるか。SNSで多くの人々と双方向でつながれるか。何より、それらをナチュラルポジティブな感覚でやれるか。3人から学ぶことは多いのです。

正直なところ、これまでも芸能人としてのすごさはわかっていたつもりでしたが、ここまでの人間性が備わっているとは思いませんでした。今頃放送を見たテレビマンたちは間違いなく、「彼ら3人と仕事がしたい」と思っているでしょう。

次ページ慣習や忖度を超えた出演者がイメージアップ
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事