木本:賛否あると思うのですが、反対意見に多いのは。
藤沢:若い世代からの反対もあります。今回の案では年金保険に入れるので、年金をもらっている人はこども保険を払わないことになっています。自動的に65歳以上の方は払わないので、現役の負担が増えすぎではないかという反論があるのです。ただ、高齢者の方にも負担していただく方法もあります。
木本:もう少し詳しく教えてください。
藤沢:たとえば介護保険は65歳から第1号被保険者になって、介護保険料は年金から天引きされます。議論が許せば、年金から「こども保険」天引きという考えもあると思います。自民党の若手議員たちは、65歳以上の人は子どもが増えても直接恩恵は受けないから、払ってもらうのは難しいと考えています。一方、子育てが終わった40、50代の人は自分たちが高齢になったときに子どもたちに支えてもらうのだから払う理屈が立つだろうと。どの世代まで負担してもらうかは、これから議論をしなければいけませんね。
子育て支援はマニフェストになったが…
木本:消費税を増やして組み込むことはできないんですか。
藤沢:安倍首相が、それを衆院選の公約にしました。消費税を、待機児童対策にさらに使うことを掲げたんですね。ですので、子育て支援をこども保険で行うのか、消費税の一部で賄うのかは、これから議論されます。
少子化対策は待ったなしですから、私自身は、どちらの形でも子育て予算が増えることが大事だと思っています。同時に、社会保険における国の考え方が変わったことを示せるので、こども保険も実現してほしいと思っています。
木本:消費税は、有効に使いやすいかもしれないですが、僕たち国民が知らない間に使われがちじゃないですか。でも、こども保険ははっきりわかるので、そちらのほうが安心な気がします。で、実現までどれくらいの期間かかりますか。
藤沢:ここまでは、ものすごい勢いで実現に近づいています。介護保険は発案から10年かかっています。こども保険が初めて発表されたのは今年の3月ですからね。これまでは子育てのために付け焼き刃のような政策しかありませんでした。待機児童対策は毎年さらに4000億円出さないといけないのに、財源がなくて、そういう中でこども保険という案が今年出てきたわけです。
こども保険は自民党の若手議員が発案したものですが、これを党の意見として正式に認めたのは、今は人づくり革命担当大臣になっていて、当時政調会長だった茂木敏充議員でした。そのうえで、こども保険を官邸に持ち込んでいくことで、政府の「骨太の方針」にも6月に入ることを実現させています。これだけのスピードは、過去に例がありません。
木本:すごいですね。
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