140年続く刃物老舗が直面した「中国リスク」 旧正月前は「土産用」に商品の盗難が相次ぐ

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刀鍛冶が明治初頭に創業した刃物メーカー・三星刃物。140年の歴史の中で、グローバル化や新規事業立ち上げなど乗り越えてきた苦難は数多い(写真:三星刃物)
近年、日本刀がブームになっている。きっかけとなったのは、DMMが制作したPC・スマホゲーム「刀剣乱舞」。美男子の姿をした名刀を育成するというシミュレーションゲームで、女性を中心に大ヒットした。「キャラクターの由来となった刀を見たい」と日本刀が展示されている博物館や美術館の人気も上昇中だ。

また、海外でも「Samurai Sword(サムライソード)」と呼ばれるなど、クールジャパンも相まって丁寧な製造方法や仕上がりの美しさが外国人を魅了している。

江戸以降、需要が減った日本刀だが…

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関鍛冶(現・岐阜県関市)は日本刀の一大生産地として栄え、最盛期の室町時代には数百人の刀匠が住んでいたとされる。しかし、1600年の「関ヶ原の戦い」の後、約300年続く平穏な江戸時代に入ると日本刀の需要は急減、多くの刀匠が包丁や小刀、はさみなどの打刃物鍛冶に転向した。

関市に本社を置く三星刃物(みつぼしはもの)も、刀鍛冶だった渡邉善吉氏が1873年に創業した刃物製造の老舗だ。大正時代に東南アジアへ輸出を始め、1957年にはニューヨーク支店を開設するなど、時代を先取り海外進出に乗り出した。現在は、米国や欧州メーカー向けに包丁・ナイフ・洋食器のOEM(相手先ブランドによる生産)やキッチン商品の輸入販売、自社ブランド製品の製造販売を行っている。

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