朝ラッシュの大手私鉄「全国一」遅い列車は? 一見「ノロノロ」でもちゃんとワケがある

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続いてベストテン内へいこう。第10位は混み合う路線として知られる東急田園都市線(中央林間―渋谷・31.5km)の各駅停車。所要時間70分、表定速度は27.0km/hだ。第9位も同じく東急電鉄で、東横線(横浜―渋谷・24.2km)を所要時間54分、表定速度26.9km/hで走る各駅停車だ。

通勤の大動脈である両線の朝ラッシュ時は非常に本数が多い。東横線は、急行・通勤特急・各駅停車を合わせて横浜発の列車が6時台13本、7時台19本、8時台は20本。田園都市線は中央林間発だと東横線より少ないが、途中の長津田発だと6時台と8時台が20本、7時台はなんと28本。特に田園都市線では、朝ラッシュ時に急行を運転せず、都心寄りでは各駅に停まる準急を走らせている。急行への混雑集中を防ぎ、追い抜きを減らして全体的な速度の平均化を図ることで、より多くの乗客を運ぶことを第一義にしていることがわかる。

第8位は、13位に続いて2回目の登場である京王線。今度は高尾山口―新宿間44.7kmを走る各駅停車で、所要時間105分、表定速度25.5km/hだ。

遅いのにはワケがある

第7位には西鉄天神大牟田線(大牟田―西鉄福岡・74.8km)がランクインしたが、これはちょっと意外だった。というのも同線は特急が表定速度67.0km/hで駆け抜け、全国大手私鉄「朝ラッシュ」最速運転ベスト20では第5位に入った速い路線だからだ。大牟田から西鉄福岡まで直通する普通列車は平日朝6時16分発の1本のみ。所要時間182分、表定速度は24.7km/hで、特急と比べると約3倍の時間をかけて走る。

まさにノロノロ運転だが、その理由は途中駅での停車時間の長さだ。西鉄柳川で11分、大善寺で8分、西鉄久留米で9分、西鉄小郡で6分、筑紫で9分、西鉄二日市で5分、春日原で5分、大橋で7分と、主要駅で計60分も停車する。所要時間の約3割が停車時間なのだ。

大牟田発の西鉄福岡行きがほぼすべて特急・急行で普通は1本だけという点からもわかる通り、普通列車はそのまま乗り通すのではなく、特に遠距離の場合は速い優等列車に乗り継ぐための存在としてダイヤが組まれているといえるだろう。

第6位は、20位に次いで2回目のランクインとなる南海本線(泉佐野―難波)で、今度は普通列車。所要時間は83分、表定速度は24.6km/hだ。

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