オラクルが「クラウド分野」で始める追撃作戦 データベースの巨人はクラウドでどう戦うか

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ハードCEOはオープンワールドの会見で、「ここ数年にわたってオラクルはクラウド分野へ投資をし、変革をしてきた。投資段階で株価が停滞した期間もあったものの、昨年頃からは(クラウドでも一部競合する)独SAPなども上回る勢いで上昇している」と説明した。

クラウドの売り上げ規模で比較すると、オラクルは競合の後塵を拝している。アマゾンはIaaS(仮想サーバーなどコンピュータを稼働させる基盤をネットワーク経由で提供するクラウドサービス)に圧倒的な強みを持つAWSを、マイクロソフトはAzureを中核にクラウドOSを展開、IBMはAI「ワトソン」を武器に、グーグルもGoogle Appsなどクラウドツールを提供、セールスフォースはクラウドのCRMに強みを持つ。

新技術導入で巻き返し

会場となったモスコーニセンターのイベントホールの外にも、液晶スクリーンが設置された(記者撮影)

こうした状況について、クリアン製品開発担当プレジデントは「オラクルはIaaSも提供しているが、そのうえでSaaS(ソフトウエアをネットワーク経由で提供するクラウドサービス)、PaaS(ソフトウエアを稼働させるプラットフォームをネットワーク経由で提供するサービス)などを幅広く提供している。AWSは最近データベースにも力を入れてきたが、オラクルには39年間の実績がある。またIaaSだけでなく、SaaS、PaaSも提供できる点でオラクルには優位性がある」と強調した。

この言葉を裏付けるように、オープンワールドではクラウドの各分野で先端技術を導入した新サービスの発表が相次いだ。目玉となったのは、エリソン会長が基調講演で明かした、「世界初の自律型データベース」だ。機械学習の技術を導入することにより、これまでデータベース管理者が行っていたプログラムのバグ修正やコンピュータの最適化などを、稼働を止めることなく自動で実行する。

自動車における自動運転技術のデータベース版のような機能で、セキュリティ面やコスト面での性能が大幅に向上。「アマゾンの(データベース製品の)半分以下のコストを保証する」と、エリソン会長は言う。

また、業務関連のクラウドサービスには最新のAI技術を導入。膨大なデータを基に、たとえば人材マネジメントでは機械学習によってより最適な候補者を見つけて採用につなげることが可能になるなど、各分野でAI技術を活用することができるという。

このほか、主に開発者向けにブロックチェーンの技術を取り入れたクラウドプラットフォームの新サービスの開始を発表。ブロックチェーン製品開発担当ヴァイスプレジデントのフランク・ション氏は、同技術について「今後10年で最もデジタルディスラプション(テクノロジーによる破壊的なイノベーション)をもたらす技術になる。ビットコインにとどまらず、今ではそれ以上の広がりがある」と指摘する。

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