オラクルが「クラウド分野」で始める追撃作戦 データベースの巨人はクラウドでどう戦うか
自前のサーバーを前提とした従来型のオンプレミスモデルで成功する一方で、クラウド型のビジネスモデルでは競合に遅れを取っている米オラクル。同社が今、クラウド強化へ気炎を上げている。
オラクルは10月初旬、サンフランシスコで毎年恒例のビジネス・技術系イベント、オラクル・オープンワールドを開催した。期間中には創業者であるラリー・エリソン会長兼CTO(最高技術責任者)をはじめ、マーク・ハードCEO(最高経営責任者)、トーマス・クリアン製品開発担当プレジデントなど、オラクルの経営トップらが多数登壇。同社の現状や今後の方向性について語った。
オラクルもついにクラウドシフト
そこで見えてきたのは、数年前から進めてきている「クラウドシフト」の進化、そしてAI(人工知能)やブロックチェーンといった先端技術の導入だ。
クラウド型のビジネスモデルへの転換は、これまでのオンプレミスで成功し、ビジネス資産を積み上げてきた企業ほど難しい。1977年の創業時から従来型ビジネスモデルで事業を展開し、データベースの世界で高い市場シェアを誇ってきたオラクルも例外ではない。
オラクルが9月に発表した2017年第1四半期決算は売上高が91.8億ドル(約1兆0100億円、前年同期比6.8%増)、営業利益が28.2億ドル(約3100億円、同6.8%増)と好調だった。オンプレミス型事業は売上高の80%を占めているが、クラウドの売り上げは14.6億ドル(同51.3%増)と初めて新規ソフトウエアのライセンス販売(9.6億ドル、同6.2%減)を上回った。
こうしたオラクルのクラウド化は株式市場からも好感されている。同社の株価は米ITバブルの最盛期である2000年8月に人気が過熱し45ドルまで急騰した後、翌年には10ドル前後まで低迷。しかし、その後はS&P500を上回る上昇率を示し、今年の5月にはついにITバブル期を上回り、足元では50ドル前後で推移している。
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