ホームドア「取り付け」は難しいわけではない 設置までの計画や準備に長い時間が必要だが

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ワイドドア車両のドア幅は通常の車両より50㎝広い(撮影:今祥雄)

ドアの位置や数が異なる車両が混在する路線へのホームドア設置は、東西線に限らず全国の鉄道で課題となっている。この点をクリアするため、近年はロープやバー(棒)を昇降させるタイプなど、新たな仕組みのホームドアが登場している。だが、東京メトロは視覚障害者の意見などを踏まえ、ホームドアは横開きタイプとする方針という。

ドア部分が2段に伸縮する大開口ホームドア(撮影:大澤誠)

そこで今回導入されたのが、ドア部分の幅を約3.5mに広げた「大開口」のホームドアだ。ドア幅が広いと収納する戸袋の幅も広くなりそうだが、ドアは望遠鏡のように2段で伸縮する構造となっており、戸袋の幅は最少で1m20cmに抑えてある。製造は、鉄道関連ではドア開閉装置やブレーキシステムなどで知られる機械メーカーのナブテスコ。設置工事に立ち会った同社関係者によると、大開口ながら戸袋がコンパクトな点が特徴で、キモといえる開閉機構や制御装置は「機密事項」。取り付け中に見える内部も撮影禁止だ。

日本一の混雑に対応できるか

東京メトロでは2015年3~9月に東西線妙典駅で、2016年3月からは九段下駅の中野方面行きホームの一部に大開口ホームドアを設置し、実証試験を続けてきた。「5年ほど前に計画が始まった当初は、大開口ホームドアはまだ技術的に確立されていなかった」と井上さん。東西線にはホームが狭い駅もあるため、戸袋の厚さが一般的なタイプと同レベルに薄型化されたこともポイントになったという。

新たな技術の確立によって東西線への設置が可能になったホームドア。だが、課題はドアの幅や位置だけではなかった。全国ワースト1位の混雑と、それに伴って発生する遅延との兼ね合いだ。

東西線では、ホームドア設置計画とともに進行中の大規模プロジェクトがある。ラッシュ時の遅延解消と混雑の緩和を目的とした駅や施設の改良工事だ。たとえば、南砂町駅では地下空間を広げて線路とホームを増設し、列車の遅れを吸収できるようにするほか、木場駅では一部の車両に集中しがちな乗降を分散させて遅延を防ぐため、既存のトンネルを解体してコンコースを新設し、ホームの幅を一部広げる工事を行っている。

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