ホームドア「取り付け」は難しいわけではない 設置までの計画や準備に長い時間が必要だが

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電車に積み込まれるホームドア(撮影:今祥雄)
ホームドアを積み込んだ車内。手すりなどにロープで固定しているのがわかる(撮影:今祥雄)

この日取り付けられたホームドアは、同日の午前中に東西線の行徳車両基地(千葉県市川市)で電車に積み込まれ、夜間に九段下駅へ輸送された。一般的に、ホームドアは大きく重量もあるため、駅の入り口などから搬入することは困難。このため、駅へは電車を使って輸送する。使うのは特別な工事用車両などではなく、一般客を乗せて走る通常の車両だ。

作業は午前10時過ぎにスタート。車両基地に留め置かれた電車の1カ所のドア横に作業用の台を設置し、トラックからクレーンで吊り下ろしたホームドアを車内に積み込む。今回のホームドアの場合、重さはドア1カ所分で500~680kg。だが、作業員たちはキャスターのついたホームドアを意外にも軽々と押し、車内へと素早く運んでいく。一般的に、ホームドアの積み込み作業にかかる時間は「だいたい2~3時間」(東京メトロ)。この日も、昼過ぎにはロープを使った車内での固定作業を含めてほとんどの工程が終わった。

「ワイドドア」がネックの1つに

今回、ホームドアの輸送に使われた電車は東西線の最新型である「15000系」。混雑の激しい同線で乗り降りにかかる時間を短縮するため、ドアの幅を通常より50cm広い1.8mとした「ワイドドア車」だ。東京メトロの担当者は「ドアの幅が広いので、ほかの路線よりも(積み込み作業が)やりやすい」といい、同線のホームドア輸送には今後もワイドドア車を使う予定という。

だが、この「ワイドドア車」が、実は東西線にホームドアを設置するうえでの課題の1つだった。

東西線を走る車両は1両の長さが20m・4つドアに統一されてはいるものの、ワイドドア車の存在に加えて相互乗り入れを行うJR、東葉高速鉄道の車両も走っており、ドア位置が微妙に異なる車種が混在する。従来からあるホームドアでは、これらすべてに対応するのは難しい。「この点が一番の問題だった」と井上さんはいう。

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