「今年の新卒は…」とのボヤキはなぜ多いのか 20~30代が2017年入社組に向ける冷たい視線

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Sさんは自分たちが若手のときには違っていたと嘆きます。加えて、理由はスマホ世代で対人コミュニケーションの機会が少なかった。あるいはゆとり教育を受けてきたので競争機会が少なかったからに違いない、ともっともらしい分析までしてくれました。と、ここまではよくありそうな話ですが、ここで悩ましい問題が起きているようです。新入社員との価値観の違いを若手社員だけでなく、中堅の先輩(入社12年目)たちも「そのとおりだ」もそれに同意し、

「仕事に対する取り組み姿勢が低下している。君たちの世代とは違うが、われわれの世代とも違う」

と問題視。厳しく指導しなければと、若手+中堅vs新入社員の対立に発展しかねない状況になっています。

先日、取材した食品メーカーでもこうした対立の構図が生まれていました。そのきっかけは有休の取得のようです。そもそも、この会社では入社してから数年間は有休取得は遠慮するという「暗黙のルール」がありました。まだ、入社から浅く勉強中の立場の若手は有休を取得する立場にはない……という発想からでした。ただ、時代が変わり、人事部から年次にかかわらず有休取得の促進が通達されて、新入社員から有休を取れる(取らなければならない)状況になりました。そこで新入社員も、

「明日から3日間、家族と旅行をしてきます」

と毅然とした態度で有休を取得するわけですが、その姿勢に対して、

「新人のうちから有休を取ることできるなんて、申し訳ないという姿勢をみせてほしいと思いませんか?」

若手+中堅社員たちが「イラッ」とし、有休取得した新人に厳しい態度で挑んだようです。たとえば、

「休みを取って、仕事が滞ることがあるとは問題だな。われわれの時代では考えられない」

などと嫌味を言ってみたり。でも、新入社員にとってみれば会社の通達に従ったのに責められるという、相当に困ったな状況です。

入社時の「覚悟の違い」

どうしてこのような対立が起きるのでしょうか? 筆者は入社時の「覚悟の違い」が原因のひとつではないかと思います。

覚悟とは、今後起きる事態を予測して心の準備をすること。つまり、会社に入社して仕事をする環境が自分が思うようには恵まれていないことを予測しておく状態。

たとえば、与えられた環境に対して、文句を言わない。自分で解決の方法を考える。そして決断する。こうした、行動ができる人は覚悟ができているといえます。いわゆる自発的に仕事ができる人材。新入社員にはこの「自発性」がないとの評価が下されているのではないでしょうか。

でも、どうして違いが生まれるのか? その理由を筆者は学生時代の就活環境にあるのではないかと考えます。では、若手+中堅の先輩たちと新入社員で就職した環境に違いはあったのか? 入社1年目と5年目、12年目(2017年、2012年と2007年入社)が就職活動した当時を振り返ってみましょう。

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