アスペルガーに悩む人が、うまく働く方法 「できる」と「できない」の差を理解しよう

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ちなみに、テンプル・グランディン ケイト・ダフィー両氏によるとアスペルガー症候群に向いているスペシャリストの仕事としては、建築・工学製図技術者、工芸家、グラフィックアーティスト、ウェブデザイナー、自動車整備士、生物学教師、コンピュータプログラマー、エンジニア、物理学者、音楽家、数学教師、科学研究者、ジャーナリスト、翻訳家、会計士、司書、コピーライター・エディター、簿記・記録管理担当者などが挙げられるそうだ。

短期記憶が苦手なのでワーキングメモリーを鍛える

自分に向いている仕事を選ぶことと同時に、アスペルガー症候群の症状を改善する取り組みを徹底的に行う必要もあると吉濱氏。

吉濱 ツトム(よしはま つとむ)/発達障害カウンセラー。幼少の頃から自閉症、アスペルガーとして悲惨な人生を歩む。発達障害の知識の習得に取り組み、あらゆるアスペルガー改善法を研究し、実地に試す。数年後、「典型的な症状」が半減。26歳、社会復帰。同じ障害で悩む人たちが口コミで相談に訪れるようになる。以後、自らの体験を基に知識と方法を体系化し、カウンセラーへ。個人セッションに加え、教育、医療、企業、NPO、公的機関からの相談を受けている(筆者撮影)

「アスペルガーは長期記憶が得意ですが、短期記憶は破綻している人が多いです。コーヒーを淹(い)れるためにヤカンを火にかけ、お湯が沸くまでの間に洗濯物を畳んでおこうとしたら、ヤカンを火にかけていたことを忘れてしまうといったような感じです。

仕事で例えると、部下や別の部署の人に『この仕事はAのやり方でお願いします』と伝えたとしても、その後自分の中で『やはりこの仕事はBのやり方だな』と思ったとすると、先ほどAのやり方でお願いしますと伝えたことを忘れ、Bのやり方でお願いしたと記憶の改ざんが起こることも。

そうすると、部下や他部署の人がAのやり方で仕上げた仕事に対し『Bと言ったのになぜAでやってきた?』とトラブルにつながってしまいます。これは、単純に頭が悪いとかやる気の問題ではないので、ワーキングメモリー(情報を記憶する作業)を鍛えれば改善します」

吉濱氏が推奨するワーキングメモリーの具体的な鍛え方としては大きく3つある。1つ目は「2つ戻りしりとり」。通常のしりとりは、リンゴ→ゴリラ→ラッパ→パイナップル……と続いていくが、2つ戻りしりとりは、リンゴ→ゴリラ→、りんご→ゴリラ→ラッパ、ゴリラ→ラッパ→パイナップル、ラッパ→パイナップル→ルビー……といったふうに、必ず2つ前の単語を言ってから新しい単語を言うようにする。そうすると、短期記憶の力が鍛えられる。

2つ目は、4ケタの数字をひたすら2ケタの数字で引き続けること。たとえば、4923をひたすら17で引いていく。これは前の数字を覚えておかないと難しい。

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