米政権がしれっと進める「危険な規制変更」 小型武器販売の規制緩和が意味すること

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この軍事支援は8カ月の闘争の末にカダフィから権力を奪うことには寄与したが、一方で、この兵器が現在もリビアで行われている内戦を結果として激化させることになった。以前はカダフィ打倒に闘志を燃やしていたリビア軍部は、以後の内戦に向けて政治的影響力を増強するため、武器の備蓄を開始した。リビア国内で武器の入手が容易であることは依然として大きな脅威であり、国連の専門家らは同国を北アフリカにおける武器の一大マーケットと位置づけた。

リビア革命を支援するために同国に持ち込まれた武器が、警備の緩い国境を通って密輸されるか、または、不正な武器取引により、ほかの地域の内戦に転用されてしまっている。アフリカの政府関係者によると、これらの武器がジハード主義を標榜するボコ・ハラムの力になっている可能性があることが、ナイジェリア軍に対して甚大な被害をもたらしたテロ攻撃を受けて明らかになったとしている。

金銭的利益を追う価値はあるのか

小型武器に関する調査を行う「スモール・アームズ・サーベイ(Small Arms Survey)」によると、米国はすでに小型武器の世界1位の輸出国であり、その総額は2014年で11億ドルに達した。この数字は、より大規模な米国の国防産業が毎年結んでいる従来の武器購入契約と比較すると小さいが、これらの商用の武器のほんの一部であっても、紛争地域に流入してしまうことは非常にネガティブな影響を与えることになる。

問題は、トランプ政権の新たな政策の結果として生じうる金銭的な利益が、世界中で調達可能な小型武器の増加によりさらにもたらされると考えられる情勢不安や暴力に十分に見合うものであるかどうか、である。

米国の武器製造企業がこうした製品をより容易に輸出できることになれば、ビジネスの観点から見ればそれは大層なことだろう。しかし、国際平和ならびに安全という観点から見れば、この政策はトランプ政権がとるものとしては危険なギャンブルである。

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