日本から先端軍事技術が流出しかねない理由 大学は「安全保障貿易管理」を直視すべきだ

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北朝鮮のミサイル開発に転用されているかも?(写真:KRT/ REUTERS)

日本の科学技術と軍事研究の関係が熱く議論されている。科学者らで組織する日本学術会議は4月13日、軍事目的の科学研究を否定する声明と報告を承認した。しかし、目的や研究者の意志にかかわらず、科学技術が海外に流出して大量破壊兵器などに軍事転用されるおそれは付きまとう。

それを防ぐために「安全保障貿易管理」と呼ばれる制度があるが、大学などの研究機関にはまだ十分に浸透していない。北朝鮮の弾道ミサイルや核開発がかつてなくリアルに感じられる中、技術立国・日本が本当に直視すべき現実はそこにある。

冷凍機もミサイルに?

ある国立大学法人の公開資料に、奇妙なリストが並ぶ。素粒子物理の研究所がアメリカに送ろうとした「スターカメラ」は「11項(4)」、太陽宇宙の研究所がカナダ向けに用意した「冷凍機」は「10項(2)」、あるいはこの大学の博物館がモンゴルに持ち出そうとした「誘導プラズマ質量分析計」は「2項(32)」……。

その記号だけでは、一般人はもちろん研究者自身でさえ何を意味するのかよくわからないはずだ。これを読み解くには、外国為替及び外国貿易法(外為法)の輸出貿易管理令をひもとかなければならない。

「輸出令第10項や11項は、ミサイル技術に転用可能なセンサー、宇宙空間での誘導装置や航法装置にかかわっている。たとえば、スターカメラは『ジャイロ天測航法装置』とも呼ばれ、ミサイルの中間誘導のために方向や姿勢を制御できる。また、冷凍機は赤外線センサーの精度を高める光検出器用の冷却器だが、この場合は宇宙空間でも使える特殊なものとして兵器にも使われるだろう」

こう読み取るのは、安全保障貿易管理の観点から海外取引をコンサルティングするファインテック技術法務事務所の行政書士、印東宏紀氏だ。

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