ゾゾタウンは、なぜ送料を「自由化」したのか 商戦期の年末までに見直しをする可能性も

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つまり、99.8%の注文では、スタートトゥデイがヤマト運輸に支払う料金よりも、安いもしくは同等の金額の送料が選ばれたというのだ。送料「0円」は選ばなかったとしても、大半の客は100円など低めの金額を設定した可能性が高い。

スタートトゥディの前澤友作社長(写真:前澤友作社長のツイッターページより)

客の設定した送料と、スタートトゥデイが配送を委託するヤマトに支払う料金の差額については、スタートトゥデイ側がすべて負担する。今回の「送料自由」の取り組みはあくまで試験的なものと位置づけていることから、「業績への大きな影響は考えていない」(スタートトゥデイ広報)という。

試験運用とはいえ、なぜゾゾタウンは送料自由化を実施したのか。送料をめぐっては、ゾゾタウンにとって苦い思い出がある。2012年、ツイッター上でゾゾタウンの送料が高いと投稿した購入者に対し、前澤社長が「タダで商品が届くと思うな」などと反論。この件でツイッターが炎上し、前澤社長は謝罪する事態となった。

商戦期を前に送料見直しも

その後、いったん全品送料無料と方針転換したが、2014年10月に3000円未満は350円、2015年11月には4999円未満は399円と、送料変更を段階的に実施。少額商品の注文が増えて出荷単価が下がり、物流費の負担が増したことなどが背景にあったとみられる。

こうした経緯の中で、今回の送料自由化に至った。明確な導入理由は明かにされていないが、前澤社長はツイッターで「自由に価格を決めていただくことで、運ぶ人と受け取る人との間に、気持ちの交換が生まれれば素敵だなと思います」と投稿している。

ただ、いつまで送料自由化を続けられるかはわからない。ゾゾタウンの配送を一手に引き受けているヤマトは、10月1日から宅配便の値上げに踏み切った。ネット通販などを展開する大口の法人顧客とも運賃改定に向けた交渉を進めているが、多くの顧客は値上げを受け入れている状況だ。

ヤマト運輸はゾゾタウンの配送を一手に引き受けている(撮影:大澤 誠)

ヤマトに支払う運賃が値上げされれば、ゾゾタウンにとって影響は小さくない。これまでも同社は、ヤマトの方針に沿って当日配送や一部時間帯の指定配送を取りやめるなどの措置をとってきた。今後、運賃の値上げに伴い、送料見直しを行う可能性は十分考えられる。

一定期間の送料自由化を行えば、注文額に応じてどこまでの送料をためらいなく支払うか、などといった消費者の傾向を見極めることができる。それを踏まえてゾゾタウンがどのような判断を下すか。同社にとって商戦期である年末シーズンまで送料自由化を継続するかが、一つのポイントになりそうだ。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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