アントニオ猪木が米メディアに語った「逸話」 NYT紙が関心示す北朝鮮とのつながり

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ニューヨークタイムズ紙の取材に応じたアントニオ猪木氏。同紙は猪木氏を「日本のデニス・ロッドマン」と紹介(写真:Kazuhiro Yonezaki/The New York Times)

41年前、日本で非常に人気のあるプロレスラーだったアントニオ猪木氏は、ボクシングの元ヘビー級王者、モハメド・アリ氏との勝負に臨んだ。だが、その戦いは「茶番劇の売名行為」と批判された。

9月中旬、同様の批判が再び猪木氏に向けられた。現在は74歳で国会議員である猪木氏が、北朝鮮への訪問から帰国したのだ。北朝鮮では動物園に行き、高麗人参酒を飲み、北朝鮮の李洙墉(リ・スヨン)朝鮮労働党副委員長らと核外交について議論したという。

猪木氏は羽田空港での記者会見で、李氏が「米国や国際社会が圧力をかけるかぎり、われわれは(核)実験を続け、よりレベルの高いものにしていく」と語ったと述べた。

「圧力よりも話を聞こう」

猪木氏は何十年も政治の世界にいるが、ある意味で彼はNBA(米国プロバスケットボール協会)のスターだったデニス・ロッドマン氏のような存在だ。ロッドマン氏も北朝鮮を何度も訪問している。

北朝鮮指導部とつながっているのが、猪木氏やロッドマン氏らわずかな人たちだけにかぎられていることは、北朝鮮という独裁国家が国際的に孤立していることの証しであり、また同国を理解するルートが限られていて、影響を与える方法はさらに限られていることを示すものでもある。

猪木氏は1995年にレスリングの試合のために北朝鮮を初めて訪問。今回の5日間の訪問は通算で32回目となった。議員会館の事務室で行ったインタビューで、猪木氏は自身の等身大パネルのそばに座り、彼の究極の目的はスポーツ外交を通じて平和を実現することだと語った。こぶしを振り上げた等身大パネルの猪木氏の写真は、トヨタの宣伝に使われる予定だ。

猪木氏によると、北朝鮮の高官は対話を望んでいるが、彼らは「米国の力が圧倒的な状況では、核兵器の開発が唯一の選択肢だ」とも考えているという(ロッドマン氏とは異なり、猪木氏は金正恩〈キム・ジョンウン〉朝鮮労働党委員長には会ったことがない)。また、国連やドナルド・トランプ大統領や日本は北朝鮮への圧力強化を主張するが、まずは北朝鮮の話を聞き、彼らの行動の背景にどんな理由があるのかを理解すべきだ、と猪木氏は述べた。

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