ヤオコー進出で火蓋切る「都内スーパー決戦」 埼玉の好調スーパーがいよいよ都内出店加速

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川野澄人社長は「本当は駅前に出店したい」と語り、成城店が軌道に乗れば、23区内に積極的に出店していくという。総菜などに強く、提案力のあるスーパーとして知られるだけに、マルエツやサミットなどライバル各社はヤオコーの動向に神経をとがらせる。

ただ、東京での知名度に劣るヤオコーが城を築くことは容易ではない。

小型店特有の難しさもある。「品数を増やそうとすると通路が狭くなり、買い物しづらい。店員の補充作業などにも工夫が必要」(首都圏スーパー幹部)。ヤオコーは専門の部署を設けて対策を検討中だ。

神奈川で“異例”のM&A

一方、ヤオコーは神奈川で食品スーパーを展開するエイヴイを4月に買収した。M&Aなしの自立成長を重んじてきたヤオコーのこの動きに対しては、競合他社から驚きの声が上がった。

完全子会社化したエイヴイは店舗運営の効率化を徹底し、売上高営業利益率は業界平均の3倍近い約5%。ヤオコーの4.2%をも上回る。ヤオコーは都内への出店加速を前に、エイヴイのノウハウを生かし、ローコスト運営を目指す。

ヤオコーは別ルートでも攻め込む。11月下旬には「浦和パルコ」の地下1階食品売り場に、中核テナントとして出店する。ファッションビルへは初進出だ。

従来は大丸松坂屋百貨店が“デパ地下”をイメージした店舗を展開するも、赤字が続いていた。ヤオコーは牛肉など一部の商品では高価格帯を用意するが、全体的には値頃感のある品ぞろえで勝負するという。

浦和パルコで成功すれば、都心の商業施設から声がかかる可能性もある。ヤオコーの新たな挑戦に業界の注目が集まっている。

中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(編集者・記者、マーケティング担当)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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