不動産再編の黒衣 プロスペクトの素顔

FCレジとの間で火花 逆張りで生き残れるか

米国やオーストラリアの先例を見れば、REIT再編も不可避というのがフリーズ会長の認識だ。

そうした中、“微妙な関係”にあるのが、ジャスダック上場のファンドクリエーション傘下にあるFCレジデンシャル投資法人。昨年1月に筆頭投資主に躍り出たプロスペクトは、信用力の高いスポンサー企業への変更や、資産規模を拡大することを要求。FCレジはそれを受け、新スポンサー探しに走った。が、買い占めが進行したため、税法上有利な導管性要件を満たさなくなり、昨年10月期の分配金が大幅に減少。大手企業との交渉も破談となった。

「その後の環境変化でプロスペクトのロジックは通らなくなった。大手でも投資口価格は必ずしも評価されていない。商社系など有名スポンサーでも低迷している」。運用会社のファンドクリエーション不動産投信の金子幸司社長は冷ややかだ。再編についても「制度面で環境が整っていない」との見方をとる。同社は市況の下がった今こそ物件取得の好機と考えており、特定投資家に対する増資も選択肢の一つとしている。結果、プロスペクトの保有比率が下がることもありうるという。

他方で、再び導管性要件に抵触する水準近くまで、買い占めは進行中だ。プロスペクト側はファンドクリエーションに対する不信感をあらわにする。ただ、運用会社解任といった荒技は考えていないようだ。買い増しは、あくまで割安なことが理由。「FCレジは物件売却を進めて、回収資金を投資主に返せばいい」とフリーズ会長は突き放す。とはいえ、自身のREITも規模で劣る問題を抱えているなど、“微妙な関係”が一転して再編に進む可能性もある。

M&Aでは被買収側の価格にプレミアムがつく。再編が進めば、銘柄物色が活発になり、市況は好転する。プロスペクトが再編に期待するのはそこだ。ただ、果実を得るには、市況回復の前に仕込む必要がある。今年に入りゼファー株を10%超まで猛然と買い進めたが、結果はあえなく倒産。当然だが、プロスペクトも不動産不況下で苦境にある。フリーズ会長によれば、運用パフォーマンスが唯一マイナスだったのは98年。が、翌年には約100%の上昇を記録したという。「ハイリスク・ハイリターン」のロシアンルーレットを生き残れるか、今まさに正念場だ。

(高橋篤史 =週刊東洋経済)

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