新生ビッグローブ、「エンタメ重視」で大勝負 格安スマホで過去の栄光を取り戻せるか
同時に、サポートの充実も図る。格安スマホでは珍しく、自宅に訪問して行う設定サービスやスマホ教室を10月から全国で展開を開始する。
これは過去のビッグローブでの成功体験に基づいている。「ビッグローブは(パソコン通信時代から)パソコン教室を全国でやってきた。それで、わからないことがあればビッグローブに聞いてみよう、といわれるようになった。ビッグローブのブランドを再起動するには顧客の懐に入るようなサポートが必要」(有泉社長)という思いがある。
こうしたサービス発表とともに、SIMカードやスマホなどのモバイル事業を統合してサービス名を「BIGLOBEモバイル」とした。コーポレートロゴも刷新し、新生ビッグローブをアピールした。
ただ、ブランドの再構築には手間も時間もかかる。それは覚悟の上だ。「地道にやっていかないとよさがわかってもらえない。第2弾、第3弾の仕掛け作りも重要」(有泉社長)。KDDI傘下に入ってすでに8カ月が経とうとしている。グループ内でのシナジーが気になるところだが、「まずはビッグローブのブランドを磨き上げる」と有泉社長は語る。
KDDI回線を用いた新プランも提供開始へ
ビッグローブは現在、NTTドコモの回線を借り受けてサービスを展開している。格安スマホ会社としては契約数で国内シェア6位(2017年3月時点。MM総研調べ)だ。同7位のUQコミュニケーションズと合算すると約9%で、楽天モバイルに次ぐ4位になる。
KDDI傘下になったことで、回線をKDDIに変更するのかが最大の焦点だったが、有泉社長は「今後もドコモのネットワーク上でサービスを提供していく。ただ、複数の選択肢があるのは顧客にとっていいこと。現在準備中で近々お知らせできる」と、既存のドコモ回線プランを維持しつつ、KDDIプランも新たに提供を開始する考えを示した。
また、業界では楽天が国内シェア5位のフリーテルを展開するプラスワン・マーケティングの格安スマホ事業買収を発表するなど、再編・淘汰の動きが本格化している。M&Aへの取り組み姿勢を問われると、有泉社長は「考えていない」と明言した。
「ビッグローブとプラスワンは契約数が40万件前後で規模が近い。プラスワンは債務超過寸前だがビッグローブは大丈夫なのか」との質問には、「格安スマホ事業は黒字に届いていないが、光回線サービスや法人向けサービスもあり黒字だ」と有泉社長は反論。実際、官報によれば2017年3月期は売上高873億円、営業利益46億円で2期連続の増収増益だ。
格安スマホ事業の黒字化のメドについては「契約数が100万件を超えないと今の料金体系では難しい。早ければ2020年には黒字化したい」とした。
1986年に国内初のパソコン通信「PC-VAN」を立ち上げ100万会員を獲得。グーグルの検索エンジンを国内初採用、動画配信では1000万会員を獲得するなど先進的な取り組みで鳴らしたビッグローブ。過去に築いたブランド力をどこまで取り戻せるだろうか。
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