JTB 、民泊にも参入する「第3の創業」の衝撃 業界トップは課題解決モデルに脱皮できるか
冒頭の事例では、大きなスーツケースを持って来日する観光客が手ぶらで観光できるようにJTBが商品販売を、パナソニックがシステムを、ヤマトHDが配送を分担して担当する。
民泊についても、地方自治体に地域経済の活性化策として、農家に泊まる農泊やお祭り時に提供するイベント民泊といった事業モデルを提案し、社会的な課題解決で収益を得る計画を立てる。
JTBが民泊に参入する衝撃は大きい。同社は全国の旅館やホテルといった宿泊施設、約4000軒を組織化したJTB協定旅館ホテル連盟を抱えており、民泊は最大の競合相手といえる。
今回は合法な民泊のみを展開する百戦錬磨と提携し、自治体向けに提案する。「地方活性化というパッケージの中で、農泊やイベント民泊を提案していく。単品の民泊をやるつもりはない」(髙橋社長)。JTBのこの動きについて、JTB協定旅館ホテル連盟はコメントをしなかった。
JTBは組織再編後の2018年4~5月に新たな中期経営計画を公表する。その中で個人部門はOTAとどう向き合うのか、インバウンド関連をどう取り込むか、そして法人部門をどう伸ばしていくのかといった点への方針を示す。
ソリューション事業への転換については「現状は微々たる規模だが、2022年度までに一定の形を作る」「社員を削減することは一切ない。教育や自己研鑽の機会を設ける。困難だがやり遂げるしかない」(髙橋社長)とする。
そのために10月から国内15カ所を回り、店長などを対象にタウンミーティングを実施、直接社員に語りかける機会を作る計画だ。
ビジネスモデルの転換はできるのか
ただ、これまでの成功モデルを転換させるのは容易ではない。早急にOTA対策が必要な個人部門については「店舗やコールセンターなど多様なチャネルを持っているのが強み。ウェブは1つの武器として磨いていく」(髙橋社長)と言及するにとどまった。
あるJTBグループの中堅社員は「人員カットをするつもりではないのか。現場にいると、顧客の課題解決ができるようになるには数世代かかりそうだ。自分も含めてそんなのは無理」と嘆く。
はたして「第3の創業」という大転換を果たせるのか。来春、その全容が明らかになる。
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