でりしゃす問題、親会社ゼンショーの影響度 食の安全に力を入れてきたはずなのに…

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買収当時、マルヤは赤字だったが、不採算店の閉鎖、店舗改装、品ぞろえの拡充といった対策が奏功し、2016年3月期には小売事業として黒字化を果たしている。

すき家で発覚した深夜の1人勤務(ワンオペ)や長時間労働への対応もあり、2014年8月の尾張屋以降はM&Aを控えてきた。労務問題にメドがついた2016年11月、創業家から買収したのがフレッシュコーポレーション(当時フジタコーポレーション、今年5月に現社名に変更)だった。マルヤと違い、買収時から利益を出す(2016年3月期に売上高253億円、営業利益8.6億円)゛優良会社”だった。

フレッシュコーポレーションは、でりしゃす以外にも「フジマート」「アバンセ」「マルシェ」というスーパー3業態を展開している。でりしゃす17店のうち、10店はこれらの系列店にインストアとして出店している。

食の安全に力を入れてきたはずなのに・・・

ゼンショーHDは「展開エリアやブランドが異なるため、今回の食中毒がゼンショーの小売事業や全体の業績に影響することはない」とする。確かに、小売事業は黒字化したといっても、HD全体の利益のわずか5%程度でしかない。

ただ、ゼンショーHDは食の安全に力を入れてきただけに、今回の事件はイメージとのギャップが大きい。

BSE(牛海綿状脳症)問題をきっかけに、2005年には食品安全追求室(現・食品安全追求本部)を設置。調達、製造・加工、物流、店舗での販売の各段階において自主検査を行うなど、食の安全を担保していることを消費者に訴求してきた。今回は業態が違うスーパー子会社での事態であり、その過失も認定されていないが、食の安全への取り組みが子会社まで行き届いていなかった可能性はある。

食中毒の原因が特定されないままでは、スーパー事業のさらなる拡大にはブレーキがかかりそうだ。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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