でりしゃす問題、親会社ゼンショーの影響度 食の安全に力を入れてきたはずなのに…
総合スーパーのイオンでは、1日3回だったトングの交換を1時間ごとに変更した。店頭でも掲示し、衛生管理の徹底を消費者にアピールしている。
今回は群馬、埼玉両県で確認されたのと同じ遺伝子型のO157の感染者が12都道府県で確認されており、原因の特定はかなり難しそうだ。
ただ、でりしゃすの衛生管理に問題があったことは事実だ。死者を出した六供店(群馬県前橋市)では、食中毒発覚後に行われた保健所の立ち入り検査で指摘を受けている。
包丁が用途別に色分けされていなかったこと、まな板や包丁、野菜を殺菌に使用するブリーチ(次亜塩素酸ナトリウム)の使用期限が切れていたことなどだ。衛生管理や食材の製造方法を記したマニュアルはパソコンで見ることになっており、どこまで徹底されていたかは疑わしい。
スーパーや飲食店の衛生管理に詳しいフーズデザインの加藤光夫社長は、「科学的な方法で衛生管理がなされているケースは、実はそれほど多くない。またどこかで食中毒が起きてもおかしくはない」と指摘する。
加藤社長によると、清掃や衛生管理の手順と頻度を決めて記録する体制作りやTT(時間・温度)管理が徹底できていないケースが多いという。たとえば、菌の繁殖を防ぐためには温かい商品は63度以上、冷たい商品は10度以下を保つケースで保存することなどが重要だという。
ゼンショーのスーパー戦略にも影響
事故の影響は、フレッシュコーポレーションの親会社にも及びそうだ。
あまり話題になっていないが、親会社は牛丼チェーン「すき家」などを展開するゼンショーホールディングス(HD)。同社は「フード業世界一」を経営理念として掲げており、食に関する原材料調達から消費者への提供まで自社で一貫して手掛けることを目指している。
小売事業への参入は食材の調達力向上や販路の多様化を狙ったもので、2012年のマルヤ(埼玉県春日部市)を皮切りに、翌年にマルエイ(千葉県市原市)、2014年には尾張屋(千葉県木更津市)など食品スーパーを相次いで買収してきた。
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