中国版ツイッター、ウェイボーの危機 中国で動き出す「ウェブ整風運動」

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胡錦濤時代を懐かしむ声も

「デマ」を取り締まるためのウェブサイトもできた。北京市インターネット情報弁公室が今月、ネット上で流れる「デマ」の告発を受け付けるサイトを作ったのである。タイトルは「デマ打ち消しプラットホーム」。参加しているのが新浪、QQ、捜狐、網易などの主要な微博の運営会社と、最大のポータルサイト「百度」などであり、基本的に中国のネット界をコントロールする面々が、業界の浄化のために自主的に集まった体裁を取っているが、実際はこれらの企業は否応なしに参加させられた形なのだろう。

このウェブサイトはデマを告発するためのもので、微博などで真偽不明の書き込みが行ったという通報があり、その内容がデマであることが証明されれば、書き込みを行ったユーザーは7日間のアカウントの使用停止などの処分を受けることになる仕組みであるが、何を基準に誰がどのようにデマを判定するかは不明瞭である。

また、新浪微博多は独自に自らの微博ユーザーに対し、信用点数制を導入することを決めた。80点を基本点として事実に反する情報を流したと判断されたときは、事態の深刻さに従って所定の点数が減点され、最後に点数がゼロになるとアカウントが取り消されるという。

こうした一連の措置は、微博管理のための大きなプログラムが発動した結果とみていいだろう。習近平体制になり、微博などウェブを含めて、当局の言論統制は厳しさを増している。早くも胡錦濤の時代を懐かしむ声が人々から上がり始めているのは、単なるノスタルジーのせいだけではなさそうである。

野嶋 剛 ジャーナリスト

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のじま つよし / Tsuyoshi Nojima

1968年生まれ。上智大学新聞学科卒業後、朝日新聞社入社。シンガポール支局長、政治部、台北支局長などを経験し、2016年4月からフリーに。仕事や留学で暮らした中国、香港、台湾、東南アジアを含めた「大中華圏」(グレーターチャイナ)を自由自在に動き回り、書くことをライフワークにしている。著書に『ふたつの故宮博物院』(新潮社)、『銀輪の巨人 GIANT』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『台湾とは何か』(ちくま書房)、『タイワニーズ  故郷喪失者の物語』(小学館)など。2019年4月から大東文化大学特任教授(メディア論)。

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