藤野:まあ、でもことによると、仮想通貨が大きくなる可能性もありますよ。たとえばICOってご存じですか。株式公開のことをIPOと言うじゃないですか。ICOはInitial Coin Offeringのことで、企業が資金調達を行う際に、株式を発行するのではなく、独自の仮想通貨を発行し、それを仮想通貨取引所に上場させて資金調達をします。先日、中国当局は、このICOを全面的に禁止、影響が広がっていますよね。
あと、VALU(バリュー)という新しいフィンテックサービスも登場してきました。これは、人の評価を値付けするようなもので、SNSのフォロワー数などで価値が決まり、その一部を売り出すことで、資金調達ができるというものです。売り出されたVALUは、株式と同じように流通市場で売買でき、流通価格が形成されていきます。個人を発行体にした株式のようなものと考えることもできます。VALUはすべてビットコインで決済されます。
ローコスト決済や送金機能が強化されると銀行は…?
中野:資金調達まで仮想通貨で可能になれば、確かに仮想通貨も「得体の知れない何か」から脱して、より実感を伴ったものになっていくとも考えられます。でも、現状はアーリーアダプターと呼ばれる、感度の高い人たちが集まっているだけで、これが一般化していくには、まだ相当の時間を必要とするのではないでしょうか。個人的には、海のものとも山のものとも知れず、という印象です。
渋澤:先進国は超低金利の状態ですから、私は先ほど言ったように、金利が付くようになって初めてリアル通貨に近いものになると考えています。
藤野:やはりアマゾンと組むべきでしょうね。そうすれば世界中どこででも、ローコストで決済できるので、決済通貨としての側面が一段と強化されるはずです。
中野:仮想通貨って、送金機能が大きな魅力だと思うのです。というのも、銀行を通じて送金すると、送金手数料ってバカみたいに高いじゃないですか。それよりもはるかに低いコストで送金できるようになりますから、その点はいいことだと思います。ただ、それが普及したら、いよいよ銀行は収益の柱を失い、存在意義をまた1つ失うことになるでしょう。経営の苦しくなった銀行は破綻に追い込まれるか、業界統合に向けての動きが活発になるかもしれません。
渋澤:すぐにそういう時代が来るかどうかは別にしても、送金など取引手数料で事業を成り立たせてきた銀行は改めて自分たちの存在意義がどこにあるのかを、きちんと考える必要がありそうですね。
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