中野:無相関と大きなボラティリティ(変動率)を求めているのでしょう。特にボラティリティに関しては、株式でさえ過去5年間で見ると、世界的に大きく低下しているのです。ブレグジットや米国のドナルド・トランプ大統領の誕生によって、瞬間的に大きく動いた場面もありましたが、実のところ5年で見ると、株式のボラティリティは債券並みと言っても過言ではないほど歴史的低水準です。これは異常値といってもいいでしょう。
ヘッジファンドはボラティリティがないと稼げませんから、少しでもボラティリティの高いものを求めた結果、仮想通貨をポートフォリオに組み入れる結果になったというのが、正直なところではないでしょうか。
渋澤:でも、あれだけ市場規模が小さいと、最初にコツコツと仕込んでおいて、後から自分たちの買いで価格を押し上げるということもできますね。
中野:そうですよね。ですから、これはもう完全に投機のマーケットです。こういう使われ方をしているかぎり、仮想通貨が決済手段として定着することはないでしょう。
もしアマゾンがビットコインを「買収」したらどうなる?
藤野:仮想通貨はインターネット上の通貨を売買しているだけなので、売買益が得られたとしても、税金がかからないのではないかと考える人もいるようですが、残念ながら申告義務はあるわけです。
しかも、金融商品という位置づけではないので、キャピタルゲインは雑所得扱いになる可能性が高い。そうなると、累進税率が適用されます。ビットコインの円建て価格の推移をみると、2015年前後は4万円程度だったのが、今や50万円程度ですから、この間のキャピタルゲインに対する税金の額は、相当なものになります。
それはさておき、仮想通貨が定着するかどうかという点ですが、たとえばアマゾンがビットコインを「買収」して、アマゾン経済圏の中にビットコインを取り込んでしまえば、広がる可能性はあると思います。たしか、日本国内ではビックカメラや丸井が、ビットコインの決済を試験運用しているのですが、こうして決済に使えるところが増えれば、徐々に環境は改善されていくと思います。
渋澤:とはいえ、ビットコインのような仮想通貨がどんどん使われるようになり、流通量が増えれば増えるほど、中央銀行が金融政策を行う際に通貨の総量を把握できなくなり、管理不能な状態に陥ることを懸念しています。
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