中野:中国のキャピタルフライト(資本逃避)が問題になっていますが、これもビットコインなどの仮想通貨を用いたキャピタルフライトが非常に増えていると聞きます。
中国の金融当局が、仮想通貨の取引所を当面閉鎖することを決定した、と報じられていますが、仮想通貨はインターネット上で取引され、国境だっていともたやすく越えて取引されるわけですから、キャピタルフライトなんて簡単にできてしまうわけです。まだリアルマネーに比べて規模が小さいから、今は深刻な問題にはなっていませんが、もしこのまま仮想通貨の規模が拡大する一方、キャピタルフライトや、通貨の総量を中央銀行がコントロールできないといった問題が解決しないままだと、確実に大きな問題を引き起こすでしょう。
渋澤:仮想通貨が「リアル通貨」として認められるには、たとえばビットコイン建ての債券などが発行されて、金利が付くようになってからの話ではないでしょうか。
個人投資家はヘッジファンドにやられるリスクがある
中野:今は単純に売買益のみだから、これはギャンブルと同じです。
渋澤:上手なトレーダーだったら、価格も操作しやすそうですね。
中野:ヘッジファンドが仮想通貨の市場に入ってきたということは、売買に参加している個人はいずれ、大きくやられるおそれがあるように思えます。何しろヘッジファンドの資金は非常に規模が大きいので、その売買によって価格が大きくぶれるようになるでしょう。今以上にボラティリティが高まることも考えられます。
もちろん、投機の市場として見れば、高いボラティリティは収益を得るチャンスに直結しますが、単純に決済を目的とした通貨だと考えれば、このボラティリティは尋常ではありません。昨日は50万円だったのが、今日は40万円に値下がりしているというのでは、仮想通貨で何かを買おうとしても、とても怖くて決済通貨に使うことなんてできないでしょう。
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