「ナチュラルローソン」は、なぜ増えないのか 消費者の健康志向にジャストフィットだが…

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真っ先に挙げられるのが商品面のハードルだ。商品開発は通常のローソンとは別の部隊が行う。ナチュラルローソンの谷口佳明・商品部長は、「エッジの立った商品が多く、店舗が増えすぎると供給できない商品もある。かつて目標に掲げた店舗数を達成するのは容易ではない」と打ち明ける。

看板商品の一つである「吉本牛乳最中アイス」(税込291円)。このアイスは、わずか4軒の酪農家から仕入れた生乳を使用した、高知県産の吉本牛乳を使っている。最中も滋賀県産のもち米を使うなど、とことん原材料にこだわった商品だ。

野菜の下ごしらえを人の手で

そのほか、地域商材を発掘した例として「黒埼茶豆」が挙げられる。これは新潟県西区黒埼地区で栽培される茶豆だ。7月中旬~8月上旬にかけての短い期間のみ栽培される品種で、独特の甘みと香りが特徴とされる。「ナチュラルローソンでは特定産地の商品が多数あり、大量生産するのは難しい」(谷口部長)。

ナチュラルローソンの商品開発の一コマ。右が竹増ローソン社長(撮影:大澤誠)

主力商品のサラダも一味違う。今年5月、通常のローソンではサラダの品目数を16から26に増やしている。ただ、ナチュラルローソンの場合、通常のローソンのサラダよりも製造過程における手作業の割合が大きい。野菜の下ごしらえやカットも人の手でやることで、おいしさが際立つという。こうしたこだわりが生産量を制限している面がある。

店舗の運営も異なる。特徴的な商品が多いこともあり、その商品の魅力を消費者に分かりやすく伝える必要がある。そのため、POP(店内掲示)を手書きで行うなど、売り場づくりの演出においては通常のローソンより、きめ細かい気配りが必要となる。

ナチュラルローソンでは、「からあげくん」などカウンターで売るファストフード商品や、コンビニにとって冬場の主力商品であるおでんを取り扱っていない。できるだけ店舗の運営を簡素化するためだ。そこで空いた時間をPOPの作成などにあてて、独自商品の販促に力を入れる。

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