ハリケーン大被害に、MLB球団はどう動いたか ヤンキースと宿敵Rソックスが見せた即反応
9月3日の試合前、彼らは共同で声明文をリリース。この日のレッドソックス対ヤンキース戦で両チームの選手・コーチらが着用したユニフォームなどをサイン入りでオークションに出品し、収益を被災者の支援に充てることを発表したのだ。
その日のプレーボール直前には、ヤンキースのジョー・ジラルディ監督とレッドソックスのジョン・ファレル監督がホームベース付近でテキサスの州旗をともに掲げ、支援のために1つになることを宣言。また、それぞれの公式フェイスブックで、ヤンキースは「われわれはグラウンドではライバルだが、ハービーの被災者をともに支援する」、レッドソックスは「“ライバル関係”はいったん忘れて、被災者支援のためにヤンキースと力を合わせる」とコメントした。
4年前にもグラウンド外で共闘したライバル
実は、彼らは過去にも同じように、グラウンドの外で強い結びつきを見せたことがある。4年前に、ボストンで爆弾テロが起きた時のことだ。
2013年4月15日、ボストンマラソンのゴール付近で爆弾テロが発生。一般市民3人が犠牲となり、282人が負傷した。
逃走していた犯人が逮捕された4月19日まではボストン市内に外出禁止令が敷かれ、スポーツイベント等はすべて中止(または延期)となり、レッドソックスが本拠地フェンウェイパークに戻ってきたのは5日後の4月20日だった。その間レッドソックスはクリーブランド遠征だったため、フェンウェイパークでは4月19日の試合のみ延期となり、21日にダブルヘッダーが行われた。
予期せぬ緊急事態が起きたことにより、ボストン市民は不安に打ちひしがれ、野球をはじめとするエンターテインメントを楽しむ機会も奪われた。そんな時、敵地ニューヨークでヤンキースがアクションを起こす。
テロの翌日の試合前、ヤンキース公式ツイッターが「私たちの心はボストンとともにある。今夜は黙禱(もくとう)を行い、3回終了後には『スイート・キャロライン』を流します」とツイート。この曲はレッドソックスの伝統的テーマソングであり、フェンウェイパークでは毎試合ファンによる大合唱がお約束だ。
長きにわたる因縁を考えると、ヤンキースタジアムでこの曲が流れるのは異例中の異例。そのツイートに対し、レッドソックス公式ツイッターは「ありがとう! お心遣いに感謝します」と返信した。
3回終了後、宣言どおりヤンキースタジアムに『スイート・キャロライン』が響き渡ると、ヤンキースファンの多くが、いつもレッドソックスファンがフェンウェイパークでやるのと同じように、サビの部分で定番の掛け声を張り上げた。かつてテロを経験したニューヨーカーたちだからこそ、ボストン市民の心情を深く理解できたのかもしれない。
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