「ドクターイエロー」引退の日が迫っている? 早ければ「来年の夏」にも可能性が

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JR東日本は「イースト・アイ」というドクターイエロー同様に検査機能がある車両を保有しているが、JR九州はこうした車両を持たず、営業用の新幹線車両に検査機器を搭載して検査を行っている。実はJR東海も、一部の営業用車両に軌道の状態を計測する装置を搭載している。このほうが合理的にも見える。

JR東海もJR九州のように、営業車両に検査機器を搭載してドクターイエローの代わりにするという可能性はあるのだろうか。

ドクターイエローが国民的な人気を博していることはJR東海も認める。それだけでなく、海外向けの新幹線売り込み資料でも、日本のインフラメンテナンスの優秀性を示す象徴としてドクターイエローがアピールされている。そう考えると、安全性の象徴として新しいドクターイエローを導入するという可能性が高い。

次世代車導入なら新造か

ドクターイエローの車内。計測用のモニターなどさまざまな設備がある(撮影:尾形文繁)

では、新たなドクターイエローは既存の車両の改造なのか、あるいは新車なのか。N700系には量産先行試作車として製造されたX0編成がある。その名のとおり量産化に先立ち試験運行を行い、そのデータを量産車両に役立てることを目的とする。量産開始後は、深夜の時間帯に時速332kmで走行するなど、営業車両ではできないさまざまな運行を行ってきた。

だが、2018年3月には次世代新幹線N700Sの確認試験車が登場する。これに合わせてN700系X0編成の出番は減る。

そう考えると、X0編成をドクターイエローに改造するといった案もありそうだが、この件については、「ドクターイエローのような特殊な車両は、改造でも新造でもコストの大きな違いはない」と、JR東海に近いある関係者は語る。だとすると、新たなドクターイエローは既存車両の改造ではなく、N700Aの新車をベースに新造されることになりそうだ。

7月22、23の両日にわたって、JR東海の浜松工場が一般公開された。毎年恒例のイベントだが、今回の目玉はドクターイエローの車内見学。従来は限られた人しか見ることができなかった車内が、ついに多くの人の目に触れることになった。これをドクターイエローに引退の時が近づいている証拠と見るのは考えすぎだろうか。

引退の時期はどうあれ、ドクターイエローはいまや多くの国民に愛される列車であることは間違いない。その代替わりともなれば、0系や300系といった営業車両を上回るような国民的イベントになるに違いない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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