新幹線の「リクライニング」はどこまでOKか 欧州の航空会社は全面使用を認めている
「さすがシンカンセン、リクライニングが付いているぞ」。新幹線に乗っていすに座るなり、一気に後ろまでバタンと倒したスペイン人のハメスさん。それを見た随行の通訳は、あわてて後ろの乗客に「ごめんなさい」、と謝った。
その様子を見ていたハメスさんは、「座席に付いている機能を使っているだけなのにどうしてそんなに謝るんだ?」と通訳に対していぶかったという。
ネット上でたびたび論議の的になっている「列車内でのリクライニング使用の是非」。公式見解はどうなのか?
リクライニングの利用について、東海道新幹線を運行しているJR東海に話を聞いてみると、「お客様同士の譲り合いやお声がけなどでご利用いただきたい」としたうえで、「利用する際は、後ろのお客様のご様子にご留意いただくよう、ご理解と協力をお願いしたい」といった説明をしている。
まったく倒さないと窮屈
この考え方を尊重すると、冒頭に紹介したハメスさんのように、いきなりバタンと倒すといった行いに対して、通訳が代わりにペコペコ謝ることもやむをえない、という話になる。しかし、JR東海は「倒さないでほしい」とはまったく言っていない。
試しに、リクライニングシートをフルに倒してみると、視覚的な圧迫感をかなり受ける。飛行機のエコノミークラス座席よりずいぶんと後ろに倒れる感じだ。しかし仮にフルに倒されたとしても、極端な前屈みにでもなっていないかぎり、前方のシートの背が自分にぶつかってくることはないし、お弁当を食べたりするのに支障はないだろう。
ちなみに、新幹線のシートは、進行方向に合わせて回転させる都合で本来の座り心地のよい姿勢よりもわずかに直角に近いところが定位置となっている。新幹線のいすに座って快適を得るには、定位置のままではちょっときつく、わずかに下げるのが望ましいと考えられよう。
では、さまざまな種類の高速列車が走る欧州では、乗客間でリクライニングについてもめたりはしていないのだろうか?
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