新幹線の「リクライニング」はどこまでOKか 欧州の航空会社は全面使用を認めている
結論から言うと、欧州の列車のシートは日本の新幹線のように大きく倒れる構造になっておらず、リクライニングがあったにしてもわずかに数センチメートルずれる程度のものが大勢を占めている。ちなみに、観光バスのシートも倒れる角度は日本製のバスと比べて小さいのが一般的だ。
日本の新幹線や特急車両のように座席が進行方向に回転する機構も付けられていない。そのため、欧州の列車では、進行方向と逆向きの席の指定券しか取れないことも往々にして起こる。「前を向いて座らないと酔う」という人にとってはとてもつらい汽車旅となってしまう。
国際線の飛行機では?
「リクライニングを倒す、倒さない」の是非については、飛行機でも同じような問題が生じている。ひどい例では、機内で前後座席の乗客同士で口論になり、やむなく機長が最寄りの空港に緊急着陸したという異常な事態が何度も起こっている。
こう言った大もめにもめるケースはさておき、新幹線など列車のリクライニングの使用の是非でなんとなく「面倒な感じ」を覚える日本人は、10時間を超えるような長距離便でも背中を倒すことを遠慮する乗客が多いようだ。キャビンクルーや旅行会社のスタッフらにランダムに尋ねると、だいたい同じようなコメントが返ってくるので、ほぼ間違いないだろう。日系航空会社の長距離線用機材の中には、リクライニングを使用する、しないにかかわらず、後ろの乗客にはまったく影響がない「シェル式シート」が搭載されているものもある。
試しに欧州の某航空会社のスタッフに、リクライニングの使用の是非を尋ねたところ、「お座りになっているお座席の背を倒すといったことを含めて、お客様は航空会社が提供するサービスを利用する権利をお持ちです」と答えてくれた。つまり、「他の乗客がリクライニングを倒すことをノーと言う乗客のほうがおかしい」という考えを明確に持っているわけだ。この考え方に立てば、他の旅客が自由にバンバン倒してくることを皆が許容しなくてはならない。ただし、食事の際や離着陸時は元の位置に戻すことを促される。
「リクライニングシートを倒す、倒さないの論議」は、個人の好き嫌いや感覚によるものが大きいため、「○○のような解釈が正解」を導き出すのは難しい。とはいえ、新幹線車内での実際の利用状況による習慣と公式見解から垣間見る、目下の一般的な許容範囲の目安をまとめてみた。皆さんはどう思われるだろうか。
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