スポーツ配信DAZN、会員100万人突破のワケ dTV・Hulu伸び悩み、混戦の動画配信の行方は

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――昨年、日本人は複数のスポーツを応援する傾向が強いと分析していた。実際の視聴動向はどうだったか?

分析のとおりだった。人気があるのはサッカーのプレミアリーグなどだが、そのファンはバレーボールなどローカルリーグのゲームも視聴する。さらに週末、F1のレースが開催されるときはサッカーのファンもそちらを見る。日本のファンがいかに複数のサービスを楽しむことに情熱的か、ということを感じている。

――端末ごとの視聴時間は、スマートフォンが34%、パソコンは33%、テレビで18%。あまりテレビで見られていない理由は?

サービスを開始したとき、各メディアの記事でモバイルの写真が紹介され、「モバイルファースト」の印象を持った方が多かったのだろう。また、携帯会社のドコモと組んでいるので、そのイメージもあると思う。

われわれはデータを駆使して、ターゲットを絞って会員獲得を進めてきた。この1年はコアなファン、テクノロジー好きなファン、流行に敏感なアーリーアダプターに焦点を当てた。そうしたユーザーは18~24歳などと比較的若く、ほかの年齢層よりもモバイルの比率が多くなる傾向がある。

ただ、ダ・ゾーンをもっと多くのユーザーに使ってもらいたい。そのためには、一般のマジョリティ層も獲得しなければだめだ。比較的年齢層が高く、自宅のテレビで視聴するユーザーにも訴求していかなければならない。今後半年間はテレビCMも打ってアピールしていく。

アマゾンはライバルではない?

――アマゾンは4月、米国ナショナル・フットボールリーグ(NFL)の配信権を獲得したと発表。ほかのスポーツでも配信権の交渉がうわさされている。スポーツの強化は脅威にならないか。

おそらくプライム・ビデオは日本でリリースするだろう。ほかのサービスが参入することは注目度が高まるのでいいことだ。ただ、当社には強力なパートナーがいて、コンテンツのクオリティも高い。日本市場におけるライバルについては特に心配していない。

ジェームズ・ラシュトン(James Rushton)/ダ・ゾーン事業のCEO。1978年生まれ。2003年にパフォームグループに入社。各地域のマネジングディレクターを務めてきた(写真:梅谷秀司)

――それだけ自信を持っているということか?

もちろん当社のサービスには自信を持っている。アマゾンがやっていることは非常に戦術的なものだ。NFLについても一部の試合に限定したもので、独占配信権ではなかったと思う。マーケティングのためにそうした活動をやっているわけだ。

ユーザーがスポーツのコンテンツをさまざまなプラットフォームで視聴できるようになれば、ダ・ゾーンへの加入も増えると思う。アマゾンとはグローバルで一部協業しているし、(スポーツ配信で)日本に参入することを楽しみにしている。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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