アマゾンが「日本の小売り」を買う日は来るか ホールフーズ買収に日本企業が受けた衝撃
「これは日本の小売業界にとっても、強烈なメッセージだ」――。ファミリーマートの澤田貴司社長はそう断言した。
米アマゾンが同国の高級スーパー、ホールフーズ・マーケットの買収を発表して1週間。137億ドル(約1.5兆円)という買収予定価格の大きさや、ECで成長してきたアマゾンがリアル店舗経営に大きく踏み込むことの衝撃は、日本の小売業界、ネット業界関係者にも広がっている。
新しい小売り業態を展開するためか?
ホールフーズは米国で8位のシェアを誇る食料品チェーン。テキサス州オースティンの発祥で、米国、カナダ、英国で合わせて460の店舗を展開している。
有機野菜など自然派高級食品のラインナップに強みがあり、顧客が自らパック詰めする量り売りのサラダ・総菜バーや、店内調理のピザなども人気だ。オフィスエリアに立地する店舗には、ランチ時になると近隣で働くハイソな会社員が押し寄せる。こうした顧客層は、アマゾンのお急ぎ便や動画配信、音楽配信サービスが使い放題となる「プライム会員」(米国での年会費は99ドル、約1万1000円)との親和性も高いと思われる。
手に入れる大量の店舗をアマゾンはどう活用するのか。世界中でさまざまな臆測が飛び交う。アマゾンが展開する生鮮品の速配サービス「アマゾン・フレッシュ」においては、商品拡充はもちろん、配送・受け取り拠点としての利用もできそうだ。また、フレッシュ用の生鮮品の在庫や購買データをホールフーズの店頭と共有できれば、大幅にロスを削減できるかもしれない。
もうひとつ考えられるのは、アマゾン自身が開発してきた新しい小売り業態を、多店舗展開することだ。たとえば、米国内で8店展開するリアル書店「アマゾン・ブックス」はECサイト上で購入者の評価が高い書籍を前面に出して陳列するという、ネット企業らしい工夫を凝らす。
また、現在は社員にのみ公開されている「アマゾン・ゴー」では、アプリを起動して入店するだけで、会計レジを通さずに商品を購入できる“無人コンビニ”の仕組みを構築している。こういった仕組みを、すでにあるホールフーズの店頭に搭載していく可能性は十分にあるだろう。
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