コッペパンブームを支える日本人特有の感性 「おしゃれなパン」からの原点回帰
東京・神田の元中学校の建物を利用したアートセンター「アーツ千代田3331」の1階カフェで、11時~16時までコッペパンを売る。人気商品は「自家製カスタード」や「ラムレーズン」、「アボカドソースのたっぷり野菜」、「自家製コンビーフポテト」など。常時11種類あり、季節商品もある。
前述の大平製パンがなんとなく懐かしい感情を抱かせるのに対して、コパンドゥは「今風」という言葉がしっくりきそうな風情。コッペパンそのものはオーソドックスな見た目だが、中身はカプレーゼやチキン南蛮など、どことなくしゃれている。
「今はサラダブームで、『サラダを挟んでいるのはないですか』という声が多いため、『アボカドソースのたっぷり野菜』を、コッペパン専門店などにはないな、と思った『ラムレーズン』を入れると人気商品になった。勉強のし甲斐があるしアイデアは尽きないです」と、パティシエの経験も持つ、ベーカリー担当の根本美智子氏は話す。
神田エリアにはパン屋が少ない
アーツ千代田3331は、アートプロジェクトの企画などを行う合同会社コマンドAと一般社団法人コマンドNが運営する。共に代表は東京藝術大学教授でもある中村政人氏。1階には、以前もテナントのカフェが入っていたが、アートイベントと連動できる場にするため、直営店舗として今春リニューアルしたのである。
早くも8月5日には、夏休み企画「夏の3331こども芸術学校2017」のイベント企画として、「こねて、混ぜて、カラダで味わう手ごねパン教室」を開催。根本氏が講師を務めた。
中村氏がコッペパンを売る店を開いたのは、神田エリアにパン屋がなく、潜在ニーズがあったことと、元中学校という場所の性質から、「誰もが学校給食で食べた記憶がある、懐かしさのあるもの」だから。ベーカリー担当者は公募。パティシエ経験が13年と長く、パン屋で商品企画などを担当したこともある根本氏が採用された。
商品開発にはパン専門のコンサルティング会社がかかわるが、最終決定は根本氏が行う。厨房にはオーブンを置き、パンは外注しないで根本氏がイチから作る。大人向け、2つ目を食べたくなることをポイントに、パンだねには沖縄の雪塩を入れ、口当たりを軽くした。1つの料理とでも呼びたくなるようなおしゃれな具材は、根本氏がパン屋や講習会そのほかでのリサーチを反映している。
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