韓国の若者たちが「レクサス」を欲しがる背景 シニア世代とは異なる価値観が広がっている

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今まで韓国車に乗っていたという30代の会社員は、「燃費、コスパとあとは子供がいますので環境のことも考えたら、トヨタのハイブリッドにたどり着きました。カムリハイブリッドは価格も3000万ウォン台ですし、(韓国) 国産車と価格はほぼ同じでも性能がいい」と話していた。

努力を続けてきた「韓国トヨタ自動車」

トヨタが「韓国トヨタ自動車」を設立したのは2000年だ。「レクサス」が先行し、2009年には「カムリ」などもラインナップに入った。韓国でのハイブリッド車販売は、2006年の「レクサスRX400h」に始まり、2014年からは「『360度ハイブリッド戦略』を推進している」と韓国トヨタ自動車の広報担当者は言う。

韓国トヨタ江南展示場の店内。韓国トヨタ自動車は「360度ハイブリッド戦略」を打ち出している。(筆者撮影)

「これはセールスからマーケティング、サービスに至るすべてをハイブリッドに集中させた活動のことで、文化や暮らしの中でのハイブリッドを提供するのが目的です。例えば、有機野菜栽培をするエコファームを作ったり、韓国は数年前からキャンピングブームですが、弊社が主催してハイブリッド車でキャンプを楽しむイベントを開催したりしています」

また、顧客満足のために日本の「おもてなし精神」を取り入れた"かゆいところに手が届くサービス"をミッションとしているそうで、「レクサス」は2016年には韓国の消費者満足度の5部門で1位になっている。 
  
韓国での日本車の躍進は、他国でのそれとは重みが異なる。韓国で日本車というと、やはりどこか抵抗感があったことは否めない。知り合いの60代の会社員はこんなことを言っていた。「昔はともかく国産を買うべきという周りの視線もあったし、日本車の性能がいくらよくても、外車だったら欧州車を買おうと無意識に思っていたところがあった。ところが、今はもうそんな意識も薄れた。うちの息子(30代)は昨年、日本車(カムリハイブリッド)を買ったんだ。日本車を買わなくてもほかに車はたくさんあるだろうにと言ったら、『性能とコスパで決めた』とあっさり言われましたよ」。

販売を中断していたVWとアウディが韓国でのテストにパスし、来年初めには人気モデルをひっさげて韓国での販売を開始する見通しだという。韓国での日本車ファンが増える中、輸入車の「人気御三家」の一角を守れるのか、人気の底力が試される。

菅野 朋子 ノンフィクションライター

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かんの ともこ / Tomoko Kanno

1963年生まれ。中央大学卒業。出版社勤務、『週刊文春』の記者を経て、現在フリー。ソウル在住。主な著書に『好きになってはいけない国』(文藝春秋)、『韓国窃盗ビジネスを追え』(新潮社)がある。

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