意外と不調?イケア・ジャパンの巻き返し策 8年ぶり大幅値下げでニトリ・無印を追う
売り上げと出店ペースが伸び悩む中、2013年度に87億円あった営業利益も、2016年度には5分の1未満の16億円まで激減した。営業利益率は2.2%で、イケアグループ全体の12.8%から大きく見劣りする。
イケア・ジャパンはなぜここまで苦戦しているのか。2016年8月に社長に就任したヘレン・フォン・ライス氏は、「他社との競争が激化している。特にニトリの拡大が著しい」と話す。
北海道発祥のニトリは、1987年度(1988年2月期)から30期連続で増収増益を達成。売上高5129億円、営業利益857億円、営業利益率16.7%を誇る日本最大の家具小売りチェーンだ。2017年度も増収増益を見込む。国内では47都道府県すべてに進出済み。店舗数は小型「デコホーム」業態を含めると400店を超え、年間40~50店の驚異的なハイペースで拡大を続けている。
生活雑貨が主体の「無印良品」を展開する良品計画も家具事業の強化に余念がない。完全子会社で家具を販売するイデーの運営会社を9月に吸収合併する計画だ。国内の店舗数はこちらも400店以上だ。
大幅値下げでライバルに対抗
“和製”大手の台頭を前に、イケア・ジャパンはどう戦っていくのか。
「低価格は購入してもらうための最も重要な要素だ」
戦略にまず掲げたのは価格訴求だ。ライス社長は景気が回復基調でも割安な商品を求めるニーズは高いとみる。売れ筋の3万9990円の2人掛けソファを1万円引きの2万9990円に。実に25%の値引きだ。2万4990円のダイニングテーブルを1万7990円に。フランス製のボウルを89円から69円に――。全商品の1割近くにあたる886品目を平均で22%値下げする。
日本での数百もの商品の一斉値下げは、2009年8月に1450商品を平均25%値下げして以来、2回目だ。「工場から物流センター、店舗に至るまで、あらゆる場所で小さなコスト改善を積み重ねた成果」(ライス社長)だという。
商品面でも差別化を図る。海外の著名デザイナーとのコラボ商品や、犬・猫用のソファベッドといったペット家具など、独自性の高い新商品を10月以降、次々と投入する予定だ。
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