先入観と全く違う「東京の地下鉄」本当の深さ

大江戸線より銀座線のほうが海抜では低い

大江戸線六本木駅を出て次の麻布十番駅へと向かう電車は、注意深く見ていると勾配をどんどん下っていく。そして麻布十番駅へ着く。六本木がいちばん深い駅なのに、そこからなぜさらに下るのだろうか。

これは、凹凸に富んだこのあたりの地形のためである。大江戸線六本木駅が深いのは、あくまで地表からの深さだ。六本木駅付近は標高がちょうど30mほどある。ところが地上を歩いていればわかるように、六本木は台地上にあるのに対し、麻布十番はその台地の下に位置している。商店街は下町的ムードも漂わせている。麻布十番の標高は5mほどしかない。六本木より25mも標高が低いのである。

大江戸線六本木駅(汐留方面)の標高がマイナス12mほどなのに対し、麻布十番駅はマイナス27mもある。だが地表の標高が低いので、地表からの深さ自体は六本木駅よりも深くしないで済んだわけである。

住吉駅は海抜マイナス33m

それでは東京の地下鉄で、標高がいちばん低い駅はどこだろうか。それは東京メトロ半蔵門線の住吉駅押上方面行きホームで、標高マイナス約33m。上には都営新宿線や半蔵門線渋谷方面行ホームがあり、その下を通らざるをえないため深くなった。ここの地表の標高はちょうどゼロmである。

海抜ゼロm以下の駅がどれくらいあるか、以下に示していきたい。最初にお断りしておくことがある。たとえば大地震で津波が東京を襲ったり台風で高潮が発生したり荒川右岸が大雨で決壊したりして水害に見舞われたとき、海抜ゼロm以下の標高の低い地下鉄駅が危険で、そうでない駅が比較的安全だ、という単純な話ではないことである。

地下鉄には、駅出入り口や換気塔などから水が浸入しないように、止水板や全断面閉鎖型防水扉、トンネル内防水ゲートなど、さまざまな浸水対策が施されている。また安全だと過信していた標高の高い駅で、周囲からの水が地下に流れ込んで危険となることがまったくないとは言い切れない。

東京湾から離れたこんな所まで、海抜ゼロm以下の駅だったのか、と感じられる地下鉄駅に、大江戸線六本木駅、有楽町線護国寺駅、副都心線渋谷駅、明治神宮前駅、東新宿駅、西早稲田駅、雑司が谷駅がある。さらに山手線の西側で唯一海抜ゼロm以下の駅に大江戸線中井駅が挙げられる。妙正寺川の谷に位置し、もともと標高がやや低いうえ、妙正寺川と、川の下を通る首都高中央環状線の山手トンネルのさらに下を大江戸線が通るために大深度となった。地表の標高は約20mなのに対し駅は深さ35.5mなので、海面下マイナス15mほどとなる。

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