先入観と全く違う「東京の地下鉄」本当の深さ 大江戸線より銀座線のほうが海抜では低い
大深度化の例を渋谷駅で見てみよう。1938(昭和13)年に開業した東京メトロ銀座線渋谷駅は、谷底に立地するJR渋谷駅をまたぐ地上に造られている。地表の標高が約16mなので、駅の標高は20m以上だ。1977(昭和52)年開業の東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線渋谷駅は、地表の下約15mの所に建造されている。ということは、16-15=1で、地下の駅の標高はプラス1m程度だろう。2008(平成20)年に開業した副都心線渋谷駅となると、駅の深さは地表の下30m近くとなった。標高を計算するとマイナス14m。完全に海抜ゼロm以下の世界である。
東京メトロ銀座線の渋谷―銀座間の地下断面図を見てみよう。わかりやすくするため高低差を強調して描いてある。まず図の右側、銀座付近の地表は標高2~4m程度なので、線路や駅がある部分はほとんど海抜ゼロm以下となる。銀座線がマイナス標高の地を走るのは、下町エリアである神田や上野を経て起終点の浅草まで同様だ。
銀座から逆に新橋方面へ向かうと、虎ノ門を過ぎ、赤坂見附へと線路は上っていく。青山一丁目で台地の地下を上りきった。地上標高は30m以上あるので、線路や駅の標高も25m近くある。ここまでの間、数多くの地下鉄と立体交差している。銀座線は東京で最初に建設された地下鉄のため、2番目に造られた丸ノ内線とは赤坂見附駅で向い合わせのホームを使うほかは、すべて他の地下鉄の上を行く形で交差している。銀座線と交差する地下鉄は、すべて銀座線の下をくぐっているわけである。
青山一丁目から銀座線は、台地上(地下)を走り、渋谷の谷にぶつかった所で高架上に顔を出し、渋谷駅へと到着する。
大江戸線で最も深い駅は六本木だが…
銀座線の場合、浅草から銀座を経て溜池山王までがマイナス標高の駅、次の赤坂見附から渋谷までがプラス標高の駅だった(なお赤坂見附駅は銀座線、丸ノ内線のホームが上下2層に分かれ、銀座線浅草方面行きが発着する下層のホームが海抜ゼロm程度以下)。
大深度に関しては、都営地下鉄大江戸線六本木駅の例が面白い。ここでもホームが上下2層に分かれるが、汐留方面行きホームが、深さ42.3m、日本一深いホームとなっている。42mといえば10階建てのビルがすっぽり入ってしまうほどの深さである。拙著でも以前触れたことがあるが、以下の話が知られている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら