「いい子」「悪い子」すべては"親の決めつけ"だ 「リフレーミング」で短所が長所に変わる

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この反対に、宿題、お手伝い、翌日の支度など、やるべきことはきちんとやらないと気がすまない、それが終わるまでは遊ぶ気になれないという子がいたとします。これは、親にとっては都合がよいことなので、長所に見えます。でも、見方を変えれば、悲観的、マイナス思考、気が小さい、神経質ということかもしれません。

こういう子が大人になったとき、職場の上司に言われたことはきちんとやらないと気がすまない、「適当に」「いい加減」で済ませることができない、いつも自分を追い込んで息が抜けなくなる、何事においても余裕や遊び心がない、やらされ仕事ばかりやっていて、自分自身がやりたいことをやれなくなる、などということになる可能性もあります。翌日のプレゼン資料が完成していないというだけで、得意先との会食も気乗りしないということになるかもしれません。つねに悲観的だと、新規ビジネスを思いついて果敢に挑戦するということも躊躇してしまいそうです。

マイペースで遅い子の見方を変えると

また、たとえば、何をやってもマイペースで遅い子がいたとします。親にとっては時間がかかってイライラするなど、不都合で不愉快なことなので短所に見えます。でも、見方を変えれば、他人のペースに左右されることなく、ゆったり着実に自分らしく生きられるということでもあります。それに、こういう人はほかの人がマイペースでのんびりしているのも許せるのではないでしょうか? やたらに忙しく生きる大人が多い中、こういう生き方ができる人は貴重です。

さらに別の例をあげましょう。よくふざける子がいたとします。親のフレームで見ると、やってほしいことをさっさとやらない、迷惑で困った子であり、「ふざけちゃダメ。ちゃんとやりなさい」としかってしまいがちです。でも、フレームを変えて見直してみると「ふざける」というのは面白がるのがうまいということです。明るい、ユーモアがある、盛り上げ上手、ということでもあります。こういう子が大人になって、その場に応じて行動する判断力がつけば、ムードメーカー的な人気者になる可能性が高いと言えます。

また、よくある例として、「何事もいい加減で、手抜きがすごい。宿題などもやればいいんでしょという感じ。何事にも丁寧に取り組んでほしい」と嘆く親がいます。でも、これは物事の軽重を自主判断できるということでもありますね。大人が仕事をするうえで、何でもすべて同じようにがんばっていては疲れてしまいますし、非効率です。ある部分は「いい加減」で済ませて、「ここぞ」と思うところに時間とエネルギーをかけられる人が業績を伸ばせるのです。時間もエネルギーも有限ですから、物事の軽重を自主判断して優先順位をつけて取り組むことが大事であり、その子はすでにそれを実践しているのです。

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