自衛隊は、弾道ミサイル防衛での装備の充実、能力向上を図っているが、2017年版「防衛白書」では、自衛官の定員と現員についても公表している。2017年3月末現在、自衛官は22万4422人。予算定員24万7158人に対して、充足率(予算定員に対する現員の割合)は90.8%である。10年前の2007年3月末の自衛官の現員は24万0970人であり、この10年で約1万6500人減っている。特に1年前の2016年3月末の現員は22万7339人だったから、この1年で約3000人減ったことになる。
特に目立つのは、「士」(自衛隊の階級構成、将官・佐官・尉官・准尉・曹・士の最下位)の充足率だ。士の隊員は、准・曹に従って、最前線中の最前線に赴く。東洋経済オンラインの当連載「日本は『戦争をできる国』にはなれない」で詳述しているが、日本の自衛隊は、このところ少子高齢化の影響を受けている。士の隊員が足らなければ、わが国の防衛も成り立たない。
最前線の隊員が少ないという構造問題
士の充足率は、2007年3月末に93.1%(現員5万8107人)だったのが、2017年3月末では69.5%(現員3万9395人)と70%を割ってしまった。予算面では士の隊員を増やす余地が残っているのだから、財政状況が厳しいから隊員が減らされたのではないことは明らかだ。
もちろん自衛隊は精強性の確保(平たく言えば、若返り)に努めている。が、高齢化はも次期の防衛大綱や中期防でも、引き続き課題といえよう。北朝鮮問題をめぐっては、何よりこの国自身に、悩ましい課題が多い現状から目をそらしてはいけない。
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