シリコンバレーは、何が”特別”なのか? シリコンバレーの”格言”とは?

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イノベーションは、ひとりの天才が作り出すというよりは、人と人とのぶつかりから生まれる。また、人と人がぶつかり交流することで、さまざまな人のアイデアがちょっとずつパズルのピースのようにかみ合わさってはまっていき、最後に「絵」となるものだ。

日本にも起業に関するイベントは開かれているが、シリコンバレーのように日常化するまでには至っていない。

「あなたは何ができるのか」に応える

とはいえ、シリコンバレーにいれば、「人と人がぶつかる機会」を簡単につくれるのか――。というと、もちろんそうではない。朝食会などで会う人は基本的には人からの紹介がほとんど。「人と人がぶつかる機会」をつくるためには、人脈が必要なのだ。

シリコンバレーで働き始めた10年前は、日本興業銀行(現・みずほフィナンシャルグループ)を退職した直後であり、「人とぶつかる機会」も「人と人をぶつからせる機会」もそう多くはなかった。つまり、ただの“ひとり”の人間だった。そうした状況では「あなたはいったい何ができるのか」という単純な原理で人間関係が決まってくる。

そこで重要だったのが、「自分ができることを徹底してやること」と「一期一会の精神で取り組む」という2つのことだ。

自分のできることは限られているので、まずは日本人がいないカンファレンスやパーティに足を運ぶなどしていき、自分の会社のこと、日本のことへ関心を持ってもらえるように動いた。何もなかったからこそ、一つひとつの人との出会いを真剣に、丁寧に、大切にした。そして今、相手のために自分ができることを積み重ね、自分の環境を変えていった。

シリコンバレーというと特殊な「何か」があると思う人も多いが、実はそうではない。私のような有望なベンチャー企業を見つけ投資をすることを生業とするベンチャーキャピタリストが、よい投資案件にたどり着くのも、結局は「人と人のつながり」。弁護士、会計士、証券会社、ヘッドハンター、同業他社、大学の同級生、大学の先生、連続起業家(シリアルアントレプレナー)、事業会社の経営幹部からの紹介が多く、特別な仕組みがあるわけではないのだ。

シリコンバレーでよく言われるのは、
「Who you know,who knows you, is what you are worth」
(お互い認め合っている人間関係があなたの価値を決める)

イノベーションが「人と人とのぶつかり」から生まれるのであれば、シリコンバレーのような「交流の場」があること、そして実は人と人とのつながりをつくる「一期一会の精神」が最も重要な「カギ」を握っているのではないだろうか。

伊佐山 元 WiL 共同創業者CEO

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いさやま げん / Gen Isayama

1973年2月、東京都生まれ。97年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現・みずほフィナンシャルグループ)に入行し、2001年よりスタンフォード大学ビジネススクールに留学。2003年より、米大手ベンチャーキャピタルのDCM本社パートナーとして、シリコンバレーで勤務。

2013年夏より、シリコンバレー在住のまま、日本の起業家、海外ベンチャーの日本進出を支援することで、新しいイノベーションのあり方やベンチャー育成の仕組みを提供する組織を創業中。日本が起業大国になることを夢見ている。著書に『シリコンバレー流世界最先端の働き方』(KADOKAWA中経出版)がある。

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