(第5回)将来進むべき方向性を見抜く

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●存在意義を考える

 将来の戦略を作ろうとするときに、SWOT分析をするより、「そもそも我々は何のために存在するのか」という会社の存在意義を明確にすることはとても重要です。

 世界的に有名な高級ホテル・チェーンであるリッツ・カールトンは今から約100年前にパリで開業されたホテルですが、1983年のリッツ・カールトンにとっての第二創業にあたるようなアメリカでの事業展開に際し、「そもそも自分たちはアメリカでホテル事業を展開していく必要があるのか」という問いからスタートしました。すでに多くのホテルがある中で、自分たちに存在意義はあるのかということです。まずこの問いから始めているのでリッツ・カールトンはコンセプトが明快なのです。
 「そもそも自分たちは何のために存在するのか?」もしリッツ・カールトンの答が、「この業界はもうかりそうだから、我々ひと儲けしてやろう」では、市場から高い評価は受けられなかったでしょう。

 現代では市場が必要としている商品やサービスはほぼ出揃っています。その中で生き残っていくには、差別化された特徴を持たなければなりません。「そもそも自分たちは何のために存在するのか?」「そもそも我々はだれをどのようにして幸せにしようとしているのか?」「そもそも我々は他社にないどんな価値を提供しようとしているのか?」という問いは、他社にない自分たちの特徴を明確にするものです。
 また、そう自分たちに問いかけることは、いまの時代にない新しい商品やサービスを考えようとしたり、現状の矛盾や問題を解決しようとすることになりますから、従業員の使命感に火をつけることにもなります。

 実はMBAの戦略論でも、このミッションの議論にはかなりの時間をかけます。私は留学していた頃、「欧米人は理念先行だから困るな~。社会のため、顧客のためなんか分かってる。早く勝つための方法論を教えてくれ」なんて思っていましたから、MBAで戦略論の最初にこのミッションの重要性に多くの時間を費やしていたことをよく覚えています。
 社会に問題意識を持ち、自らの存在意義を考えるところから、自らが進むべき方向性の本質が見えてくるのではないでしょうか。
國貞克則(くにさだ・かつのり)
1961年生まれ。東北大学工学部機械工学科卒業後、神戸製鋼所入社。
プラント設計、人事、企画などを経て、1996年米国クレアモント大学ピーター・ドラッカー経営大学院でMBA取得。2001年ボナ・ヴィータ コーポレーションを設立して独立。中小・中堅企業の社長の右腕として財務・人事・戦略分野などの本社機能をサポートすると共に大手企業の中間管理職を対象に会計・リーダーシップ・戦略論の教育を行っている。また、子供向けの竹とんぼ工作教材を販売する「竹とんぼ屋」の店主でもある。
主な著書『財務3表一体理解法』(朝日新書)、『「財務3表のつながり」で見えてくる会計の勘所』(ダイヤモンド社)、『書いてマスター!決算書ドリル』(日本経済新聞出版社)、訳書に『財務マネジメントの基本と原則』(東洋経済新報社)がある。
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