「戦犯」前原vs枝野では、民進党に明日はない 細野氏離党と「日本ファースト」で遠心力加速

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今回の民主党代表選について政界では「どちらが勝っても野党再編のきっかけになる」(自民幹部)との見方が多い。

前原氏の持論は「政権交代可能な二大政党制には、政界再編が必要」というもので、野党再編を引き金にして、自民党も巻き込んでの大再編を目指しているとみられる。一方、リベラル代表の枝野氏が衆院選でも「民共共闘」に踏み込めば、「民進党という野党第1党が旧社会党のような『永遠の野党』になる」(民進長老)可能性が大きい。その場合、党内保守派は離党して新党結成に動かざるを得なくなる。

若狭氏による「小池新党」結成の動きはこうした"近未来"をにらんだもので、都議選結果が示すように、有権者が民進党に代わる政権交代の「受け皿」を求めれば、「それに応える」(若狭氏)ことを狙っているわけだ。ただ、「都民ファーストの会」で当選したいわゆる"小池チルドレン"は「一部を除いて政治の素人ばかり」(自民都連)のため「失言や暴言を恐れて取材拒否を徹底している」(都民ファースト幹部)というのが実情だ。「日本ファーストの会」も"促成栽培”で国政に殴り込めば、同様な事態を招く可能性が大きい。

若狭氏によると、小池氏が最初に口にした「国民ファースト」はすでに政治団体として使用されているため「日本ファースト」としたとされるが、「トランプ米大統領の『アメリカファースト』の二番煎じの印象」(自民長老)も強く、「選挙に当選するための『自分ファースト』」(同)との批判も広がる。

3者3様の「夢よもう一度」

4半世紀以上前、「自民長期政権打倒」の旗を掲げて有権者の拍手喝さいを浴び「非自民8党派連立政権」誕生(1993年)につなげたのが細川護煕元首相が率いた日本新党で、その後、多くの新党が浮かんでは消え、残ったのが民進党だった。

その日本新党で政界入りしたのが小池、前原、枝野3氏で、今回の民進党代表選や「小池新党」の動きは3氏がそれぞれ描く「夢よもう一度」ともみえる。だが、新党の中で唯一「政権党」の頂きまで到達した旧民主党を引き継ぐ民進党の分裂・解党話ばかりが先行するリーダー選びでは、「党再生も政権交代の受け皿づくりも、夢のまた夢」(首相経験者)と言われても仕方がない。

「出直し人事」で一息ついた首相はお盆前後は夏休みモードに入るという。疑惑追及を回避し、「まったく白紙」と言いながら「衆院解散」をちらつかせて民進党代表選で「高みの見物」を決め込もうとする首相に「手も足も出ない」ようでは「代表選後の民進党にも明日はない」(民進長老)のが実態だ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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