JDI、主力3行と1070億円の融資枠を確保 海外拠点を中心に約3700人の人員削減

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 8月9日、経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)は、海外拠点を中心に約3700人の人員削減や中小型液晶パネルの前工程を担う能美工場(石川県)での生産を今年12月に停止するなどの構造改革計画を発表した。写真はJDI本社で昨年8月撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

[東京 9日 ロイター] - 経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)<6740.T>は9日、石川・能美工場での生産停止や海外中心に約3700人の人員削減などの構造改革計画を発表した。

2017年度中に1700億円の特別損失を計上、4年連続の最終赤字が確実だ。記者会見した東入来信博会長は、液晶重視だった従来の戦略から、「OLED(有機EL)に舵を切った」と強調、同分野での海外グローバル企業との提携交渉進め、今年度中にめどをつけるとしている。

同社はみずほ銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行の主力3行から1070億円の融資枠を確保した。同融資枠には筆頭株主である産業革新機構の連帯保証が付く。

<経営再建、最後のチャンス>

日立製作所<6501.T>、東芝<6502.T>、ソニー<6758.T>の中小型液晶事業を統合して12年4月に発足したJDIは、2017年3月期までに3年連続の最終赤字と、経営不振が続いている。今年6月に会長兼最高経営者に就任した東入来氏はこの日の記者会見で、今回の再建計画が「JDIにとって最後のチャンス」と強調した。

併せて発表した17年4─6月期の連結業績は、営業損益が144億円、純損益が314億円の各赤字。通期予想は示していないが、4年連続の最終赤字は確実な状況だ。

今回示した構造改革の実施により固定費を年間500億円削減。2019年度には400億円の営業利益を確保するとしている。今後は、「過剰キャパシティー」(東入来氏)の生産能力の適正化を図り、16年度に8300億円だった損益分岐点売上を19年度には6500億円に引き下げ、利益体質への転換を図るという。

<有機EL、中国企業との提携も排除せず>

中小型液晶で世界首位(訂正)(調査会社IHSマークイット調べ)の同社は、高精細技術での強みを背景に、有機ELの開発も手掛けつつ液晶重視の戦略を維持してきた。

ただ、収益の8割を占めるスマートフォン向けディスプレーでは有機ELへのシフトが急速に進展。東入来氏は「OLEDなくしてはスマホ・ビジネスの将来はないので、戦略的に舵を切った」と述べた。19年にはスマホ向けに本格的な有機ELディスプレーの量産を始め、収益への貢献を見込むという。

研究開発や設備投資で多額の資金を要するこの分野での生き残りを目指して、グローバル企業との提携交渉を進め、「17年度中にはめどをつけたい」(東入来氏)という。

提携先から資本注入を得るのかとの質問に東入来氏は、「それもあると思うが、いろいろな形が考えられる」とし、明言はしなかった。

同社の提携先には中国や台湾企業が候補になるとの観測もある。同氏は中国や台湾企業との提携について、「可能性としてはある」と述べ、排除しない考えを示した。

*中小型液晶の世界シェアの順位を訂正します。

(浜田健太郎)

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