サムスンやアップルに大敗、台湾スマホの落日 株価は暴落、「経営の神様の娘」王雪紅氏が迎える試練
では、かつてVIAとHTCが成功したのはなぜか。それは、いずれもチャンスをうまく捉えたからだ。
VIAはインテルの製品ラインナップ上の失策に乗じて成長し、巨人インテルに対抗するまでになった。しかし、インテルが製品のラインナップを調整したこと、VIA自身の投資が不調だったこと、さらに半導体業界の景気悪化が加わったことで、VIAの株価は下落していった。
一方、PDAのODMメーカーとして創業したHTCは、マイクロソフトと提携していち早くウィンドウズタブレットやウィンドウズフォンを発売。また、グーグルと提携してアンドロイドフォンでリーダーとしての地位を固めるなど、大手企業に寄りかかる形で成長し、自社ブランドの地位を徐々に高めてきた。しかし、グーグルがアンドロイドをオープンプラットフォームとして普及させる戦略に出ると、HTCは優位性を失う。新たに寄りかかる大樹を見つけられないうちに、株価は下落の一途をたどった。
急成長するも戦略なし、相次ぐ利害関係人との取引
04年、VIAの株主総会で株価暴落の責任を追及された王会長は、「私は経営の神様の娘です。もう一度チャンスをください」としか釈明できなかった。王会長の父親は、台湾で経営の神様と言われる台湾プラスチックグループの創業者である王永慶氏だ。しかし、悲劇は繰り返された。
株主は王会長の経営手腕に満足しないまでも、株価と業績が好調なうちは片目をつぶってきた。しかしHTCが危機に陥った今、その経営手腕が再び検証されている。
VIAとHTCの投資には、HTCによるVIA子会社買収など「利害関係人との取引」において疑惑がありすぎる。しかも、常に王会長が所有する投資会社が絡んでいることで、投資家が疑問の声が上がっている。
HTCはミドルエンド製品ラインナップ不足を認め、近くこのクラスの機種を発売すると発表した。携帯電話市場では今後、ミドルエンドが主流になるだろう。秋にはアップルも低価格版のiPhone5Cを出すとの情報もある。HTCはミドルエンド市場に参戦するが、この市場はハイエンド市場ほど儲からない。この戦いに勝ち、HTCを救えるのか。王会長は、人生最大の試練を迎えている。
(台湾『今周刊』2013年8月12日号、『今周刊』は『週刊東洋経済』と提携関係にある、台湾トップのビジネス誌です)
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